油画の知識と技術を習得し「具象」と「非具象」のいずれかを選択。自分ならではの芸術表現を追求する
制作者として、さまざまな描画材料について、あらためて興味と関心を持つことを目的とする授業。自作の水彩絵の具を用いた作品制作や、テンペラ画やフラスコ画の演習を実施する。
具象と非具象を学ぶ。具象では、裸婦、静物、自画像の油彩で写実的手法を身につけ、非具象では抽象絵画の技法などを踏まえながら、自己の想念を作品化。実習と並行して絵画の歴史についても触れていく。
自らテーマを設定し、作品を制作していく。素材をスクラップしながら集めていき、構成・構図、画材、技法などについて研究や考察を重ねるプロセスを経て、独自の表現方法を見いだしていく。
前期は100号程度の作品を制作。講評会などをとおして自己表現のあり方を模索する。後期では、4年次に至るまでに習得した表現や造形手段を統合して作品に結集。集大成となる卒業制作に着手していく。
抽象と聞くと「取っ付きにくい」とか「難しい」というイメージがあるかもしれません。しかし抽象的思考がなければ動物と植物を分けることも、植物を野菜や果物に分類することも出来ません。抽象的な思考とは物事を合理的に把握する力だと思います。絵画の中の抽象性を理解することで「自分の物の見方」を知り、広い視野で世界を見ることに繋げてもらいたいと思っています。
私は絵画の制作活動のなかに、自己教育力の仕組みが内包されていると考えています。つまり誠実に制作活動を続けることが、人間を成長させるのです。絵はいつでも描いた人を映し出す鏡です。つねに自己を直視し、自己を発見し、世界でひとつだけの自己を育てていきましょう。私はそのお手伝いをしたいと思います。
現在、日本の若いアーティストたちにはどのような視点が求められるのでしょう。 グローバルな世界では、皆が平等な「世界人」。私たちの描く作品が「日本人の描いた絵だから。」と特別視されることは、もはやありません。そこは単に国際的な自由世界などではなく、国家の価値観や既存のルール、または美徳すら完全に無視した、無防備でボーダレスな未知なる混沌と言えるでしょう。その中、現実に日本に生きるアーティストとして、いかに自立しうるのか。そんな大切な問題について論じられる学びの場を、本学に作ってゆきたい。