Interview
住宅をメインに手がける個人の建築設計事務所に入所。入所後、すぐにひとつのプロジェクトをまかせてもらいました。不安だらけでしたが、自分で考え行動することの大切さと責任のある厳しい仕事だということを叩き込まれました。2007年に吉岡賞(現:新建築賞)を受賞したコーポラティブ住宅は、独立後、初めて設計した住宅です。4年かけ、何度もフィールドワークや会議を開き建築をつくるルールを決める事から関わり、デザイナー主導ではなく、住む人が主体になる家づくりが、どれほどクリエイティブであるかを知りました。
大阪芸大は、学生の自由な発想を大切にしてくれます。自分が考え抜いた建築を最初に認めてくれたのは、大阪芸大の先生でした。課題設計では、指定の用地に何度も足を運び、人の流れを観察するために一日座っていたり、その場所の歴史を調べたり。単なる提案というより、現場にすでにあるものに対する何らかのリアクションを形にするような建築の面白さは、学生時代の経験から学びました。
一昨年、友人が祖父から譲り受けた築100年の町家の改修を手がけました。予算が少なかったので、プロにレクチャーを受けながら、住人自身が解体、補強、内装工事などに取り組むプランを立てました。結果的に、友人は家を買うのでなく「建てる」ことができたと喜んでくれました。この経験を通じて、壊して建てるだけでなく、ストックされたものを循環させる建築に興味を持ち始めました。建築「物」だけでなく、建築「行為」をデザインすることで建築家の領域を少しでも押し広げていきたいと思っています。
DIYの社会性とその未来を探る初のプロジェクト本を出版
7iP#03 KOJI KAKIUCHI(ニューハウス出版)