Interview
「特撮研究所」という名の通り、東映のテレビや映画の特撮シーンに限定した撮影を専門に行っています。特撮は、作品の要となるシーン。助監督として、スケジュールを組む、モノをそろえる、現場を回す、雑用をこなすという4つの仕事を一手に引き受けています。最初のうちは、とにかく今いる現場を回すことで精一杯でしたが、最近は、次のカット、さらにその次、と先々のことを考えて動けるようになってきました。
特撮の現場は、ミニチュアセットの制作と飾りこみ、ロボや怪獣のスーツを着たスーツアクターの出演、爆発シーンであれば火薬の用意など、さまざまな要素が必要になります。僕は監督の描いた絵コンテを見て、効率的に撮影が行えるよう、撮る順番をすべて組み直した指示書を作成し、現場ではスタッフに指示を出しながら、撮影を進めます。「特撮っぽいつくり」と観客にわかるようでは失敗。リアルに見えるような工夫を凝らしながら、日々の撮影をスムーズに進めることが、助監督の使命です。
大阪芸大では、集団で一つの作品をつくることの難しさ、スケジュール管理の大切さを学びました。今の助監督の仕事には、この時の経験が役に立っています。 特撮研究所への入社は、学生時代に制作した怪獣映画がきっかけでした。NHKの映像作品のコンテストに応募したところ、入選して放映され、その番組を見ていた今の会社のスタッフが、スタジオ見学に招待してくれたんです。その後、押しかけるようにしてアルバイトに入り、翌年正社員になりました。 学生のうちは、「自分にはこれしかない」と思い詰めず、他の学科の友人と交流したり、映画を観たり、芸術作品を見るなど、フラットな気持ちでいろんなものに触れることが大切。そして、進みたいジャンルが定まったら、とにかく作品を制作し、多くの人の目に触れる形で発表するべきだと思います。無理してクオリティを上げるよりも、発想力を活かした作品をつくることが重要です。お金をかければ、クオリティは上がります。でも、光るアイデアは誰にも真似できるものではないし、プロたちはそれを見ている。僕はそう信じて進み、今、ここにいます。