未来を見据えたアートエキスポ「art stage OSAKA 2023」に出展 未来を見据えたアートエキスポ「art stage OSAKA 2023」に出展
「アートで見る未来社会」という新たなテーマを掲げ2023年9/1(金)〜3(日)に開催されたart stage OSAKA 2023に大阪芸術大学が特設ブースを出展。エントランスからすぐの本学ブースでは出展した若手アーティストと作品について語り合う来場者の姿も数多く、熱い盛り上がりを見せていました。9/2(土)には大阪芸大の特別プログラムとして高校生見学ツアーを実施。国内外から出展された多彩な作品に触れたことは、大きな刺激になったようです。
芸術の未来の試金石となるアートエキスポへ
芸術の未来の試金石となるアートエキスポへ
国際的なアート見本市として始まった2022年からブラッシュアップし、新たなテーマ「アートで見る未来社会」を掲げて開かれたart stage OSAKA 2023。Japanese Contemporaryセクションでは現代日本の社会に浸透した合理性と、非合理な精神性との相克を表現する芸術家にフォーカスが当てられていました。インドやタイなどアジア各国から11人のアーティストを招請したWorld Art Osakaセクション、フィジカルとデジタルの境界を横断するNew Mediaセクションと、最先端の芸術の成果を結集したアートエキスポとも言えるイベントです。
若手アーティストたちの作品発表の場となった大阪芸術大学ブース
若手アーティストたちの作品発表の場となった大阪芸術大学ブース
今回、大阪芸術大学ブースに出展したのは、大阪芸術大学出身のアーティストたち。美術学科から平面作家2名と立体作家1名、そしてキャラクター造形学科とデザイン学科から各1名。また、新進作家として注目を集める美術学科の卒業生、潤inoue.さんの作品もNew Mediaセクションに出展されるなど、幅広い活躍が見られる場にもなりました。
さらに、本学主催の特別プログラムとして高校生を招いての見学ツアーを実施。本学の教員からの解説を聞きながら、会場を見て回って高校生たちは「作品の背景を知ることができて自分の制作やアイデアの幅が一気に広がった」、「出品者の方にNFTについて詳しく説明していただき、これからの方向性が見えてきた」と作品づくりへの意欲が掻き立てられたようでした。
本学出身者インタビュー
小さい頃から人や風景を描くのが好きで大阪芸大に入学しました。4年生になったばかりの頃、あるきっかけで、素朴で飾り気のない人やモノのオーラに自分が興味を惹かれていることに気づきました。ちょっと飛躍するようですが、押し寄せる情報や時間の流れから遮断された仮想空間にぽつんと置かれた缶を描き始めたのはその頃からです。
制作するときは描くことだけに集中したいので、誰もが寝静まった深夜に筆をとります。光の変化がなく、物音もほとんどしない、この作品そのもののような環境を整えて制作に入ります。余計なことは考えずゆっくり時間をかけて絵の具を練り、それを何層にも塗り重ねていくのが僕のスタイルです。
学生の頃、楽器を作るという課題で、この作品の原型を作ったのが始まりです。最初は、社会風刺的な意味合いを強く出したり、ネジ工場で働くおじさんといったキャラクター設定を考えてみたりもしていました。でも、10年近く作り続けてきてみると、この作品には自分自身の言葉にできない、日々のもやもやした感情が表れているのがよくわかります。きりきり舞いさせられたり、泥沼にハマったり、打ちのめされたりと大忙しなので。
実はこの作品を原型にカプセルトイを作るという企画をいま進めています。回転レバーをひねって、この奇妙な造形がコロンと出てくるところを想像すると楽しみでたまりません。
由布院に開業したオーベルジュENOWAの客室やレストランに掛ける絵として作品をご購入いただいたのをきっかけに、今年から画業に専念できるようになりました。僕の絵は床に脱ぎ捨てられた服だったり、窓辺にぽつんとコップが置きっぱなしになっていたりという生活のなかの無意識化された行為の結果生み出された光景を描いています。
具象的なモチーフを描いているのに、頭のなかで再解釈し抽象的なイメージを生み出す、という意味ではポップアートに近いのかもしれません。見る人にも絵に対して積極的にアプローチすることを求める手法です。だから、実際の光景の手がかりを作品にどこまで残すかが悩みどころ。僕自身、ヒントはミニマムにしたいのですが、見る人にまったくわかってもらえないのではしょうがないですからね。
雑誌をめくっていると、イラストに使いたいと思う色に出会いました。そういったパーツを切ったり貼ったりを繰り返すなかでコラージュの面白さにハマりました。コラージュではありものの雑誌や写真を切ったパーツを使って作っていきます。だから、思い描いていたのとは違う、想定外の表情が浮かび上がってくることもあります。それがコラージュならではの醍醐味かもしれません。
今回、出展したようなフィジカルな作品以外にも、デジタルでの作品づくりにも挑戦していきたいと考えています。つまり、コラージュとアニメーションの融合。そこでAdobe のPremiereとAfter Effectsを勉強中です。art stage OSAKAにはフィジカルな作品をいかにデジタルに落とし込んでいくか参考になる作品も多くて、経験値をすごくあげることができました。