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前代未聞の体験型音楽フェスティバルとして開催された「Music Festival, teamLab Jungle」。“参加者みんなでつくっていく”をテーマに、観客が音を奏でたり、光を操作できたりと、さまざまな実験的な取り組みが行われた。
アート集団チームラボは、フェスティバルをどのように変えていこうとしているのだろうか?チームラボ代表であり、大阪芸大アートサイエンス学科で客員教授を務める猪子寿之先生に聞いた。
撮影:田頭 真理子 photographs:TAGASHIRA MARIKO
「ちょっと極端な話になるかもしれないけれど、本当はアートの前で踊ってもいいんだよ。でも、なんだか踊りにくいでしょ? だから、身体的にアートを感じられる場をつくったんだ」
そう話すのは、チームラボ代表であり、大阪芸大アートサイエンス学科で客員教授を務める猪子寿之先生だ。美術館に行くと、どうしても静かに作品を眺めることになり、頭で知覚することが多くなる。そうではなく、身体でアートを体験する場としてこの実験的な音楽フェスティバルは生まれたという。
その最大の特徴は、ステージがないこと。つまり、アーティストという主役が存在しないわけだ。そして、そこにいる人たちと一緒になって体験を生み出していくことが求められる。盛り上がる場合もあれば、その逆もしかり。
ただ、そのすべてはその場を共有した人たちのアクションに委ねられる。そのなかで一人ひとりが社会の一員であることに気づいてほしいと猪子先生は話す。 今回は実験の要素が強かったというが、この先については何か考えているのだろうか?
「もし継続することができたら、海外でも実現したいかな。世界で話題になっているものを輸入するのもいいんだけど、それだけだと寂しいじゃない。自分たちが世界に影響を与えられるものをつくりたいよね」
●猪子寿之(いのこ・としゆき) チームラボ代表。チームラボは、アートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。
縦横無尽のムービングライトによって生まれる光の空間。前代未聞と銘打たれるだけあり、その演出は規格外だった。そんなミュージックフェスティバルのハイライトを紹介!