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プラモデルの作例製作から、一般ユーザー向けの模型教室、イベントでの実演、大学や専門学校での講演など、女性プロモデラーの第一人者としてさまざまな活動を行うオオゴシトモエ氏に、プラモデルの今と、未来についてうかがった。
「プラモデル業界に革命が起きています。従来、プラモデルのジャンルは、大きくふたつにわかれていました。ひとつがガンプラをはじめとするロボットなどのキャラクターモデル。もうひとつが戦車、飛行機、自動車、城など実在するもののミニチュア版のスケールモデルです。
みなさんがつくられたことのあるプラモデルも、これらのいずれかにあてはまるのではないでしょうか。最初にガンプラが発売されたのが1980年ですから、約30年間もの長い間、この棲みわけは大きく変わっていなかったのです。
さて、ここにきて登場してきたのが、コトブキヤの『フレームアームズ・ガール』、同じくコトブキヤの『メガミデバイス』、バンダイの『フィギュアライズバスト』などをはじめとする美少女プラモデルです。
これらが登場するまでは精巧な美少女キャラクターのミニチュアといえば、完成品のフィギュアかレジンキットしかほぼありませんでしたが、これらと比較するとプラモデルは非常に安く、パーツの色わけがされていたり、顔の瞳の部分が印刷で再現されていたり、誰でも簡単につくれるということから人気が高まっています。
また、射出成形技術の向上による、完成品フィギュアに負けないクオリティもその理由のひとつです。美少女プラモデルの人気は今後も加速し、プラモデルのオリジナルキャラクターが、アニメーションやゲームへスピンオフしていくなど、通常とは逆の展開も増えていくことでしょう。いずれにせよ、プラモデルをつくる人が増えて、業界が活気づいてくれればこれほど幸せなことはありません」
これから10年先、20年先のプラモデルはどうなっていくのか。オオゴシ氏の考える中長期的なビジョンについてうかがってみた。
「イベントや講義をとおして若い人たちと話す機会が多いのですが、プラモデルを一度もつくったことがないという人が多くてビックリします。私たちが子どものころ、ほとんどの男子はプラモデルをつくった経験があったと思いますが、今はゲームなどの影響のせいか、プラモデルと出合う機会がないのかもしれません。
イベントや模型教室をとおしてそうした機会を提供し、プラモデルのおもしろさ、奥深さを少しでもたくさんの人たちに知ってほしい。それが私の願いです。
そしてもうひとつ。老人ホームやリハビリテーション施設、病院などにプラモデル製作のプログラムを導入し、ものづくりの喜びを感じてもらい、身体機能の向上・回復に役立ててほしい。指先を使って細かな作業をするのは脳にいいし、簡単なプラモデルであれば、作業療法のプログラムに置きかえることもできるはず!と考えています」
誰でも一度はプラモデルをつくったことがある。…というのはひと昔の話のようだ。趣味やレジャーが多様化するなかで、ユーザーの拡大をはかるには、オオゴシ氏の言うとおり他業界との連携が必要となってくるのかもしれない。
●オオゴシトモエ(おおごし ともえ)1978年広島県生まれ。大阪芸術大学キャラクター造形学科講師。モデラーとして活動の傍ら、プラモデルのナビゲーターとして多くの模型教室を開催。ものづくりの楽しさを広める活動を積極的に行っている。著書に『はじめてだってうまくいくガンプラの教科書』(大泉書店)などがある。新宿マルイアネックス7階にある「模型ファクトリー」をはじめ、各施設、カルチャースクールでは、定期的に模型教室を開催。女性ひとりでも参加できるようにと、女性限定の教室も開催している。