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合唱のパンフに描いた“イボだらけのおじさん”
勉強もできなかったし、「だったら好きなことをやろう」と芸大受験の準備をはじめたのが17歳の頃。
絵を描いたり、粘土で何かをつくるのは好きだったのですが、それ以前に人を驚かせたかったんです。子どもの頃は表現の方向性が定まっていなくて“いきなり廊下で大声を出す”みたいなこともしていましたが(笑)、絵に関してもただキレイに描くというより、“何だこれ?”と思わせたくて。
中学生の合唱コンクールのパンフレットの絵を担当したときも、表紙は人が歌を歌っている普通のイラストで、裏表紙は顔面イボだらけのおじさんの絵を描いたりしてました。
「驚かせたい」「おもしろいことをしたい」というのは今の仕事にもつながっていると思います。10代の頃は映画も好きで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ランボー』などのヒット作から、スプラッターもの、ゾンビものまで何でも観ました。映画のポスターやチラシ、下敷き、バッグなども集めていて、それがデザインへの興味につながったのかも。
作品を仕事につなげるために、絵に値段をつけた
デッサンの先生に「あなたはおもしろい絵を描くから、大阪芸大がいいのでは」と勧められたこともあって、大阪芸大のデザイン学科に。周りには絵を描く人、デザインする人ばかりで刺激を受けたし、「ここで目立つためにはどうすればいいだろう?」と考えるようになりました。
途中からマーケティングコースを選んだのも良かったですね。自分の作品を仕事にするための実践的なことを学べたし、それはどんな仕事にも必要なことだと思うので。
個展を開くときも、作品には必ず値段をつけていました。売れるかどうかではなく、値段をつけないと“商品”にならないですから。立体作品を中心にフィギュアイラストレーターを名乗ったのは上京してからで、その前は京都の広告代理店にいました。就職活動のときは、好きなお菓子メーカーで「パッケージをつくりたいです」とアピールしたことも。その後、「きのこの山」のキャラクター(「きの山さん」)をデザインできたので、夢が叶ったということですね(笑)。
●デハラユキノリ 1974年、高知県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒。ナイキ、タワーレコードなどの広告を手がける一方、作家として年間4~6回のペースで東京をはじめ台湾・香港・NY・LA・パリなどで個展を開く。明治製菓『きのこの山』のキャラクター「きの山さん」「たけ里ブラザーズ」のデザインや、いきものがかりベストアルバム『いきものばかり』のジャケットを担当するなど幅広く活躍している。