本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

関西の精鋭演奏家による夢の“響”宴が再び!「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ2024」 関西の精鋭演奏家による夢の“響”宴が再び!「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ2024」

演奏学科
2024/07/12

2024年5月29日、「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ 2024」の公演が、大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開催されました。

関西クラシック音楽界の最前線で活躍する演奏家が、楽団や団体の枠を超えて“夢の吹奏楽団”を結成。毎回一夜限りのメンバーで演奏会を開催します。今回の演奏会では、演奏学科の伊勢敏之教授、酒井格客員教授、潮見裕章講師の3名が指揮を担当。満席の観客に向けて「たなばた 2024年版」の世界初演など9曲を繰り広げました。

ドリームプロジェクト再び!
今年は3名の指揮者が登壇

5月29日、「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ2024」が大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開催されました。


関西を中心に活躍する演奏家たちが所属楽団の枠を超えて集結。「夢の“響”宴」と好評を博した初演から早1年。第2回となる今回は、精鋭演奏家たちの競演に加え、3名の指揮者がタクトを振るという多彩なプログラム。今年はどんな夢を奏でるのか、パワーアップした「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ2024」へ期待が高まります。


本番前の5月26日~28日、大阪芸術大学の14号館ホールにてリハーサルが行われました。指揮者をはじめ関西の主要オーケストラの団員やソリストなど、今回選ばれた実力者たちが各地から集まりました。

3日間と限られた時間でしたが、みな高い集中力でそれぞれの指揮者の求める音を作り上げていきます。

学生たちもリハーサルの様子を見学。出演メンバーには演奏学科で指導を担当する先生もおり、プロの演奏家としてリハーサルに臨む姿に刺激を受けていました。

大阪芸術大学14号館ホールでリハーサルが行われた
コンサートマスターの持丸秀一郎先生と打ち合わせをする酒井格先生。作品の意図をより深く理解し、全体で共有していくプロセス

演奏会当日。

ゲネプロでは細かなところを修正。

最後に今演奏会の制作を統括する本田耕一演奏学科教授が「みなさんが、今ここにいることが奇跡です。素晴らしい一夜になるでしょう」と確信に満ちた言葉で演奏家たちを激励しました。

本番当日は、ゲネプロで細かな表現バランスなどを調整
伊勢先生、酒井先生、潮見先生の指揮者3名がリラックスした表情で打ち合わせ中
制作統括の本田耕一先生が本番前のメンバーにエールを送る
平日の夕刻とあって、学校帰りの高校生が続々とホールへ
約1700席のザ・シンフォニーホールが満席に。期待感で熱気に包まれる会場

チケットは完売御礼。会場は吹奏楽ファンで満席。およそ1年ぶりの「夢の“響”宴」の始まりです。

オープニングは演奏学科講師の潮見裕章先生の指揮よるプログラム。躍動感ある『春の猟犬』で一気に会場が明るい音で満たされ、観客を惹き込みます。続いて低音楽器と打楽器の響きが印象的な『ラッシュモア』。チューバ奏者である指揮の潮見先生のカラーが反映された重厚な響きのアンサンブルです。

続いては、2024年度全日本吹奏楽コンクール課題曲『メルヘン』の作曲者である演奏学科酒井格客員教授が、ともに自作の『メルヘン』と、『たなばた 2024年版』(初演)を指揮。酒井格先生は『たなばた』や『森の贈り物』といった吹奏楽の人気曲の作曲者としてよく知られた存在。その酒井先生が最新の課題曲やブラッシュアップした新版を自身で指揮するとあって、大きな注目が集まります。

自作曲にタクトを振る酒井先生。作曲家自身の指揮による演奏が聴ける貴重な機会

両作品ともストーリーが立ち上がってくるようなサウンドや美しいハーモニーの響きで場内を魅了。夢のような時間が流れていきます。

休憩を挟んで第2部では伊勢敏之教授がタクトを振り、今年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲『勇気の旗を掲げて』、『風がきらめくとき』、『フロンティア・スピリット』を次々と演奏。高度なテクニックのウインドアンサンブルが繰り広げられる舞台。吹奏楽に励む高校生たちはコンクールに向けて模範となる演奏を聴き、その表情は満ち足りています。

初演から引き続き指揮を担当する伊勢先生

そして世界的に活躍するトロンボーン奏者、玉木優客員教授によるソロが圧巻の『レッドスカイ』へと続きます。玉木先生が「今までこれほど大きな拍手を受けたことがない」というほどの観客の熱狂的な反応を受け、フィナーレへと向かいます。

『レッドスカイ』でトロンボーンソロを演奏する玉木先生

フィナーレには第1部で指揮をした潮見先生がチューバを抱えて再登場。続いてトロンボーンソリストの玉木先生も加わってフルメンバーによる『ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲』を届けます。ホールは迫力ある荘厳なハーモニーに包まれます。

フィナーレは『ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲』

アンコールは今年生誕100年を迎えた作曲家・團伊玖磨氏の「祝典行進曲」。希望に満ちたマーチが会場をさらに盛り上げ「大阪芸術大学ドリーム・ウインド・オーケストラ2024」は盛況のうちに幕を閉じました。

全9曲の演奏を終え、カーテンコールに応えるメンバー

終演後、興奮冷めやらぬ観客の高校生たちから「楽しかった」「プロの技術は素晴らしい」「来てよかった」といった声が聞かれ、コンサートの余韻はいつまでも続きました。

指揮者3人がそろってカーテンコール。会場はひときわ大きな拍手に包まれた
作曲家/演奏学科 客員教授
酒井 格 先生 (指揮)

指揮は専門ではないのですが、今回のメンバーが楽譜から私のやりたいことを感じ取って、積極的に音楽を作ってくださるのに助けられました。そういう人たちと一緒に音楽を作れるのは楽しいですね。これだけのメンバーの前で指揮をするのは大変なことだけれども、みなさんがあたたかく迎えてくださった。
私にとって、作曲した楽譜が音になる、それも素晴らしいプレイヤーたちの演奏で音になる瞬間が一番の喜びです。
演奏した曲について、『たなばた2024年版』はそれまで不整合があった部分をすっきりさせ、これまでの経験からこの方がいい音が鳴るというように改めています。言うなれば、東京駅並みのバージョンアップです。外観は変わらないですが、基礎の部分にあたる曲の構造や響きを支えるために大事な部分を大幅に変えています。『メルヘン』は今年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲として作曲しました。二つの主題が交互にきて展開するのですが、そこに演奏する人が、例えばストーリーを考えてはどうでしょうか。そうすることで高校生が曲の構造を理解する助けになればいいなと思います。これからいくつかの大会に審査で参加する予定なので『メルヘン』を演奏するスクールバンドに出会えたらうれしいですね。
吹奏楽に取り組んでいる高校生の皆さんには、まずハーモニーを正確に美しく響かせたときの喜びを知ってほしい。そのためにはよい状態の楽器を正しい演奏法で練習することが大切です。大阪芸術大学には楽器の選び方や管理法など熟知されている専門家の先生方が集まっています。そんな先生方から学ぶことができるのは恵まれた環境だと思います。

演奏学科 客員教授
玉木 優 先生

今年も参加が決定した瞬間から心待ちにしてきました。メンバーはみな一流奏者なので、リハーサルを重ねるごとにどんどん音が良くなります。音に対するセンスやアンサンブルのアンテナの張り方が良く、本番は大爆発!昨年すごく楽しかったのを覚えています。今年は協奏曲のソロパートを任せていただき、光栄であると同時に責任重大に感じていましたが、喜びの方が大きくて。海外や国内を含めいろいろな地域で演奏しますが、関西のお客さんからは、どの地域よりも温かく情熱的な拍手をいただきます。コンサートとは、音楽家と観客が舞台で奏でられる音だけに集中するとても特別な時間。そこに自分が関われるのは貴重なことだと思い、毎回のコンサートに臨んでいます。
4月から大阪芸術大学演奏学科の客員教授という重要な任務を与えていただきました。今回のリハーサルの前日にも特別講座を開講させていただきました。24歳でアメリカのオーケストラに入った当時、自分の道筋の少し先を進んでいるような先輩、私にとってのロールモデルのような存在が身近にいなかった。だから若い人の助けになりたいと思っています。めざす夢が遠いと感じても地道にコツコツ続けていけば道は開けます。その道のりは足し算のようなものだと思っています。焦ることがあっても冷静に、どうすれば毎日具体的に積み重ねられるかを考えるといいと思う。コンクールやオーディションの成功はキャリアの上では必要なものかもしれないけれど、一方で音楽は一生続けるもの。音と生きていく毎日をどう感じるか。それをどう表現するか。音楽家にとって音を出すという行為は、生きていくことそのものと密接に関わっていて、私はこれ以上に豊かな人生はないと思っています。

日本センチュリー交響楽団 クラリネット奏者/演奏学科 講師
持丸 秀一郎 先生(コンサートマスター)

今回初めての参加ですがこれだけのメンバーが集まっているだけあって、とても豪華な音が鳴っていると感じます。リハーサルが始まると、スッと音が集まってくる感覚があり、
ピークの描き分けがだんだんと見えてきてフレーズが動き出す。そういう作業で音を集めながら進めていくのが面白いところです。今回は指揮者が3名登壇されましたが、指揮者が何を重要視して描いていくかで同じバンドでもサウンドが全く変わります。チューバ奏者である潮見先生は低音楽で奏でる和音のハーモニーが印象的なサウンド。重量感のある音が選曲にも表れていたし、音の深みをとても感じます。酒井先生の『たなばた』は一般的には躍動感のある演奏をすることが多いと思うのですが、酒井先生は横の流れで音楽を作りたいとおっしゃって。作曲家はこんな気持ちだったのだと曲にまた違う側面が見えてきました。伊勢先生は指揮者として長く活動されており、全体をコントロールする力が高い方。フレーズの作り方へ細やかに心を配られている印象です。
コロナ禍を経て、演奏会にはひとつの空間のなかに演奏者と観客がいて、一緒に音楽を作りあげているということが大切な要素なのだと感じます。学生のみなさんには生の音が心に残るという体験をしてもらいたいですね。今年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲も演奏しましたが、中高生に課題曲が提示されるのは、音楽を理解するうえで重要な要素が課題曲に入っているから。中高生の頃にきっちり音楽の基礎を身体に入れることによって、その先の自分の音楽をうまく展開していけるのではないかと思います。音楽そのものが持っている純粋な響きを美しいと思える感覚を身につけてくださいね。

Osaka Shion Wind Orchestra ピッコロ・フルート奏者/演奏学科 講師
礒田 純子 先生

初演の時から参加しています。初めて音合わせをしたときは、みなさんの持っている音楽性がよいのはもちろん、回数を重ねなくても音楽が作れていくなという印象で、演奏するのがとても楽しかったです。前回は試行錯誤するところもありましたが、今回はいい意味で落ち着いて演奏できたと思います。メンバーのプレイを聴いていると、次にこういう音が来るのかなと思っていると、予想を上回る音が来ることがあるんですね。そうすると、こちらももっといいプレイがしたいという気持ちになり、相乗効果でどんどんよい音になっていく。そういうときは本当に楽しいです。
今回指揮をされた酒井先生の楽曲は、何度も演奏してきているのですが、リハーサルで作曲者目線からの的確な指示があり、合点がいくというのか、腑に落ちた感覚がありました。テンポの説得感など得る所が多かったです。『たなばた 2024年版』は従来版より音量の強弱などの設定が色々と繊細に変わっているので、演奏する側に立つと違いがはっきりする曲なのではないでしょうか。
プロとして舞台に立ち、振り返ってみると、何かひとつ好きなことを貫くことがとても大事だと思います。私が進路を選ぶときに音楽を続けたいと思ったのは、吹奏楽でいろんな楽器の音で調和したときの喜びを味わえたから。一生の友達もできたし、そこから得た楽しいことがたくさんあります。「これだ!」と思ったことを状況に負けずにがんばり続けることで見えてくることがあると伝えたいですね。

大阪フィルハーモニー交響楽団 ホルン奏者/演奏学科 講師
高橋 将純 先生

昨年に続き今年も参加させていただきました。ホルンのメンバーも昨年と同じ4人です。実はこの4人で以前からホルン四重奏団として活動しており、昨年この演奏会の立ち上げの話をいただいたときにホルンパートはぜひこのメンバーで、とお願いしたのでした。性格も音も相性抜群のこの4人で吹奏楽をやってみたい!と思っていた私の夢がドリーム・ウインド・オーケストラによって叶いました。
リハーサルの休憩時間や公演前の時間にはメンバーそれぞれの中学校・高校時代の吹奏楽部での思い出話で盛り上がりました。今は中高生を指導する立場のプロ奏者たちが当時の思い出を嬉しそうに話す姿がとても印象的でした。私も憧れの先輩やプロ奏者の演奏を聴いて自分もそうなりたい!と一生懸命練習していたあの頃のことを思い出しました。
今回の演奏会には私が指導している吹奏楽部の生徒たちがたくさん聴きに来てくれました。オーケストラの先生がホルンを教えに来ている、という認識の生徒たちのなかには、自分の先生が吹奏楽を演奏している所を初めて見た生徒も多く、嬉しそうに感想を伝えてくれました。その様子が昔の自分と重なり、感慨深いものがありました。
今回の演奏会を聴きに来てくれた学生の皆さんには、夢を持つ勇気を音に乗せてお伝えしたつもりです。ステージで演奏している私たちも、最初から良い音で吹けていたわけではありません。良い演奏をしたい!と夢を持って頑張ってきたからこそ、今の音があります。我々の音を聴いて「自分も頑張ろう!」と思ってくれたら嬉しいです。みんな、頑張って。いつかどこかのステージで会いましょう。

<出演者紹介>

Piccolo

礒田 純子 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]

Flute

上野 博昭 [京都市交響楽団・大阪芸術大学 講師]
椎名 朋美 [関西フィルハーモニー管弦楽団]
永江 真由子 [日本センチュリー交響楽団]
三原 萌 [大阪交響楽団]

Oboe & English Horn

大島 弥州夫 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
土井 恵美 [京都市交響楽団]
東口 佐和子 [アンサンブル神戸]

Bassoon

常田 麻衣 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]
村中 宏 [京都市交響楽団]

Eb Clarinet

村西 俊之 [大阪芸術大学 講師]

1st Clarinet

持丸 秀一郎 コンサートマスター [日本センチュリー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
吉野 亜希菜 [東京交響楽団]
松尾 依子 [ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団・大阪芸術大学 講師]

2nd Clarinet

篠原 猛浩 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]
稲本 渡 [神戸女学院准教授・大阪芸術大学 講師]
森 奈穂子 [フリーランス]

3rd Clarinet

船隈 慶 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
東山 梓 [ウインドアンサンブル奏]
山下 真理奈 [大阪交響楽団]

Alto Clarinet

新 竜馬 [フリーランス]

Bass Clarinet

仙䑓 玲 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]

Contrabass Clarinet

高橋 由有子 [ウインドアンサンブル奏]

Alto Saxophone

崔 勝貴 [大阪芸術大学 講師] 
福田 亨 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]

Tenor Saxophone

髙畑 次郎 [Osaka Shion Wind Orchestra・大阪芸術大学 講師]

Baritone Saxophone

小川 幸子 [ドルチェ大阪ミュージックアカデミー 講師]

Trumpet

小曲 俊之 [日本センチュリー交響楽団]
篠崎 孝 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
白水 大介 [大阪交響楽団]
髙見 信行 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
西馬 健史 [京都市交響楽団]
横田 健徳 [岡山フィルハーモニック管弦楽団]

Horn

小椋 順二 [京都市交響楽団]
世古宗 優 [フリーランス]
高橋 将純 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
水無瀬 一成 [京都市交響楽団]

Trombone

亀岡 航紀 [フリーランス]
玉木 優 [ソリスト・大阪芸術大学 客員教授]
戸井田 晃和 [Osaka Shion Wind Orchestra]

Bass Trombone

笠野 望 [日本センチュリー交響楽団]
小西 元司 [京都市交響楽団]

Euphonium

貝塚 理江[ソリスト]
小寺 香奈 [和歌山大学 准教授]

Tuba

川浪 浩一 [大阪フィルハーモニー交響楽団]
北畠 真司 [Osaka Shion Wind Orchestra]
潮見 裕章 [大阪交響楽団・大阪芸術大学 講師]

String Bass

浅野 宏樹 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 講師]
大槻 健太郎 [大阪交響楽団]

Timpani & Percussion

井口 雅子 [大阪フィルハーモニー交響楽団]
奥田 有紀 [フリーランス]
角 武 [関西フィルハーモニー管弦楽団]
髙鍋 歩 [Osaka Shion Wind Orchestra]
田中 雅之 [奈良フィルハーモニー管弦楽団]
中村 拓美 [大阪フィルハーモニー交響楽団]
堀内 吉昌 [大阪フィルハーモニー交響楽団・大阪芸術大学 客員教授]
吉田 周平 [フリーランス]

Conductor

伊勢 敏之 [大阪芸術大学 演奏学科教授]
酒井 格 [大阪芸術大学 演奏学科客員教授]
潮見 裕章 [大阪交響楽団・大阪芸術大学 演奏学科講師]