本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

JAZZ&POPS 2023 JAZZ&POPS 2023

演奏学科
2024/02/06

2023年11月14日、大阪・梅田のサンケイホールブリーゼにて、演奏学科ポピュラー音楽コースの学生が出演するコンサート「JAZZ&POPS 2023」が開催されました。会場では厳しいオーディションを勝ち抜いた9組に加え、OUA BIG BANDによる演奏が繰り広げられ、華やかなステージングが観客を魅了。ポピュラー音楽コースの演奏力や音楽的キャパシティの広さを堪能できる公演となりました。

学生たちによるパフォーマンスがサンケイホールブリーゼで花開く

トップバッターで登場した「チョコボと200%だいき」は、人気ゲームシリーズ『ファイナルファンタジー』でおなじみの楽曲『ビッグブリッジの死闘』を披露。アグレッシブなハードロックアレンジが施され、複雑な展開をギターのタッピングや速弾きを交えながらみごとに完走しました。

続いて登場した「plant」は、緑黄色社会の『sabotage』をアコースティック編成で演奏。4年生・田中美優さんのじっくり聞かせる歌声に、穏やかなギター・ピアノの旋律、深みのあるコントラバスの低音、力強くもすべてを優しく包むドラムの音色が渾然一体となってホール内に響き渡りました。

「Swan Lake」のステージで奏でられた『極彩 | I G L (S)』は、トライバルなリズムに乗せ、楽器陣のエモーショナルなプレイや祈るような歌声が心地よい揺らぎを生み出しました。演奏終了後、2年生のボーカル・山本満月さんが「負けそうで不安だった時期に出会った大切な歌です」と演奏曲についての思いを語りました。

会場が徐々に熱を帯びる中、「ソンゴる民族」は、ドゥービー・ブラザーズの名曲『Long Train Runnin’』をファンキーに熱演。ソウルフルな松村七瀬さんのボーカル、楽器陣とコーラスの刺激的な掛け合い、コンガを交えたリズムセクションのコンビネーションなど白熱の演奏が繰り広げられ、終盤にかけて怒涛のようなグルーヴを生み出していました。

前半のラストに登場した「Under」が披露したのは、アメリカのジャズピアニスト、ロバート・グラスパーの楽曲『Over』。ピアノがアーバンな空気をリードする中、機械で変化させた声色を変化させたアンニュイなボーカル、空間系ギターのバックで繰り広げられるリズム隊の応酬など、実験性に満ちた演奏が展開されました。

後半は、総勢24名で編成された「OUA BIGBAND」による『First Circle』からスタート。ハンドクラップの導入から揺らめくような曲調に突入し、サックス、フルート、金管楽器などの楽器陣が次々と優雅な音色を奏でます。複雑な変拍子を行き来しながら心地よく穏やかな音色が観客を包み込みました。

続いて登場の「おぶう」は、メンバー全員が1年生のトリオ。オリジナル曲『Olive』をピアノとボーカル2人という編成で披露しました。異なるカラーを持ったボーカルのハーモニーにピアノの優しい音色が絡んだサウンドは、3人とは思えない音圧を構築。平和へのメッセージを込めた楽曲を高らかに響かせていました。

3年生の仲村一希さんを中心とする「S.PELLEGRINO」は、幅広いジャンルで活躍するドラマー、サイモン・フィリップス作曲のインストゥルメンタル楽曲『Pentangle』を熱演。疾走感のある曲調に乗せてキーボードソロやなめらかなトーンの速弾きなど、スタイリッシュなプレイが続き、最後は力強いユニゾンで締めくくりました。

ツインボーカル編成の「tragedy」が披露したのは、ドラマ主題歌として人気を博した『あなたの知らない私たち』。華やかなボーカルのかけ合いや唸るようなサックスのブロウ、ラテン要素も加味するパーカッションなど、情熱的なサウンドが折り重なり、昭和テイストのあるメロディーをスイングさせていました。

大トリを飾った「OTOTO」は、スティーブ・ルカサー率いるTOTOの『Jake to the Bone』をリスペクトあふれる演奏でカバー。印象的なリフを刻むギターに2台のキーボードが追従することで緊張感を生み出します。心地よいスローパートを挟みながら最後はダイナミックなハードロックサウンドで観客を圧倒しました。

数多くの熱演が繰り広げられた「JAZZ&POPS 2023」。演奏やステージングなど、さまざまな場面で学生たちの成長が感じられ、ポピュラー音楽コースの充実ぶりを示す公演となりました。

 ロビーではミュージッククリエイター専攻の学生たちがDTM(Desk Top Music=パソコンやタブレットなどの機器を使った音楽制作)の体験ブースを設置。手軽に取り組める音楽制作の楽しさを来場者にアピールしました。

演奏学科 ポピュラー音楽コース ヴォーカル専攻
升本 しのぶ 先生

ポピュラー音楽コースでは今回の「JAZZ&POPS」をはじめ、さまざまなコンサートイベントに出演してステージ経験を積むことができます。学生も、1年生のうちはパフォーマンスが控えめだったりしますが、1度でも人前で演奏する楽しさを知ると、一気に佇まいが変化するというケースが多く見られます。3年生・4年生ともなると技術的にも上達し、ステージングも実に堂々としたものになるので、彼らの成長スピードの速さにはいつも驚かされます。
ポピュラー音楽コースは、どんなジャンルも受け入れるところが大きな魅力です。自分のやりたい音楽を追求しつつ、これまで触れたことがないジャンルを知る機会を作ることが私たち教員の役割かと思っていますが、私たちが知らないジャンルやアーティストについて学生のほうが詳しいということもよくあります。彼らが自分たちの交流で音楽的知見を広げ、私たちが学ばせてもらうことも珍しくありません。そんな学生生活の中で、議論やセッションを重ねながら仲間と音楽を作り上げる素晴らしさを知ってもらえたらなによりです。座学についても1人で全部を学ぶのはハードルが高いので、友人同士で教え合いながら知識を広げてもらえたと思います。
現在、ポピュラー音楽コースには12の専攻があり、これまでのようなプレイヤー同士の交流はもちろん、今後はミュージッククリエイター専攻やポピュラーコンポーザー専攻といった制作側が存在感を増すことで、より充実したコース運営を展開できればと思います。総合芸術大学で他学科とコラボレーションしながら勉強できる環境というのは本当に特殊で、私も、このような環境で学べる学生たちがうらやましく感じられます。学生たちには4年の間にチャレンジ精神や技術を伸ばし、どんどん素敵な音楽を作っていって欲しいと思います。

演奏学科 ポピュラー音楽コース 3年 ギター専攻
平野 礁 さん

僕は高校時代、サッカーに打ち込んでいたのですが、一方で父の影響でギターを弾き始め、ロックやポップスなどの楽曲を練習して、弾き語りもやっていました。最初はあくまで趣味程度と思っていたのですが、やっていくうちにどんどん熱が高まり、音楽系の専門学校に進学しようかと考えたのですが、父が大阪芸術大学の演奏学科にポピュラー音楽コースがあることを教えてくれて入学を決意しました。
入学後は同期の友人や先輩からいろいろな音楽を教えてもらったことで、自分の嗜好もどんどん変わっていきました。今ではフュージョンやファンク、ソウルなどをよく聴くようになり、プレイスタイルもファンクギターが得意としています。バンドで他の人と一緒に演奏するのも入学して初めて経験し、メンバー同士で考え方やリズムを合わせて進めていくことの難しさや楽しさを知ることができました。音楽理論については、入学前までまったく知識が皆無だったのですが、授業で学ぶうちにのめり込んでいきました。高校までは正直、勉強が苦手だったのですが、好きなことなら本当にいくらでも頑張れるし、理論を知ったことで自分のギターや曲作りも大きく向上したと思います。今後はさらにテクニックを磨いてジャズにも挑戦したいです。今回の「JAZZ&POPS」での出場曲はアダルティーな曲調で、納得できる形にするまで時間がかかったのですが、ブラック系のフィーリングも取り込んだことで、自分の中の新しい扉をまた一つ開くことができました。
卒業後は就職を考えていますが、仕事をしながら学内の友人と組んでいるバンドやプレイヤーとしての活動を続けていけたらと思っています。

演奏学科 ポピュラー音楽コース 2年 シンガーソングライター専攻
山本 満月さん

私は父の影響もあって子供の頃から音楽が大好きで、高校時代は軽音楽部に所属して、さまざまなバンドコンテストに出場していました。卒業後も音楽を続けていきたいと思ったのですが、普通の大学に通うと、どうしても音楽にかける比重が減ってしまう。そのことについて軽音楽部の顧問の先生に相談したところ、大阪芸術大学の演奏学科にポピュラー音楽コースがあることを教えてくださいました。4年制大学でしっかり音楽を勉強でき、映像学科や放送学科など他学科と交流を持って創作の視野を広げられるのではないかと提案していただき、自分が進むべき場所はここだと確信しました。
入学後の学びで大きかったのは、やはり座学ですね。高校時代はオリジナル曲を作るといっても感性の赴くままという感じで、楽譜を書いたり読んだりすることもありませんでした。ポピュラー音楽コースでコード理論などを学んでからは、曲作りの幅も広がり、音楽史の授業では、好きなジャンルがどこから生まれて現在の形に変化していったかを知ることできました。これまで知らなかった音楽にたくさん出会えたのも貴重な経験です。1年生のときは、一気に新しい音楽を吸収したことでキャパオーバーになってしまったのですが、それを経たことで2年生になってからは自分のやりたい音楽が明確に見えるようになってきました。今回の「JAZZ&POPS」では初めて自分で企画したバンドで出場し、音楽を通して伝えたい思いを歌に込められたら。今後はオリジナル曲を増やして学内外のコンサートに出演し、卒業後もSNSなどを活用しながらアーティスト活動を続けていきたいと思っています。