プロムナードコンサート2023 プロムナードコンサート2023
演奏学科の一大イベントであり、大阪芸術大学の夏の風物詩としても毎年話題を集める「プロムナードコンサート」。2023年は、クラシック音楽の殿堂と言われる「サントリーホール」での東京公演をはじめ、大阪・名古屋と3都市で開催。各都市の一流ホールで、学生とプロ音楽家の共演が観客の心をとらえ、拍手と喝采にあふれる感動的なステージが繰り広げられました。
大阪公演では、8月24日に北区のフェスティバルホールでオーケストラステージ、21日に浪速区のZepp Nambaでポップスステージを開催。また名古屋では23日に愛知県芸術劇場 コンサートホール、東京では28日にサントリーホール 大ホールにて、それぞれオーケストラ・ポップスステージが行われました。
レジェンド的な音楽家たちと有名ホールに立つ
オーケストラステージ
オーケストラステージ
フェスティバルホールに満員の観客を迎えたオーケストラステージ。演奏学科クラシック各コースの学生を中心に構成された大阪芸術大学管弦楽団と大阪芸術大学混声合唱団が、日本を代表する指揮者の一人である演奏学科教授の大友直人先生の指揮で、音楽の素晴らしさや平和への祈りを伝える楽曲を演奏しました。オープニングは、アートサイエンス学科の渋谷慶一郎客員教授とアンドロイド・オルタ4のパフォーマンス。続いて演奏学科ポピュラー音楽コース1年生によるゴスペルが、会場を一気に盛り上げます。
3曲目からはオーケストラの演奏で「『ハリーポッターと賢者の石』組曲より ハリーの不思議な世界」などおなじみの名曲を披露。ヴァイオリニストの川井郁子教授、ピアニストの熊本マリ教授と今川裕代准教授、フルート奏者の神田寛明客員教授、ソプラノ歌手の小林沙羅准教授、トランペット奏者の橋爪伴之教授ら豪華なソリストが出演し、学生たちとの共演に大きな拍手が沸き起こります。
後半には、作曲や舞台音楽など多方面で活躍する宮川彬良氏のスペシャルステージも。自身の編曲による楽曲を指揮し、大友直人教授との楽しいトークで会場を魅了しました。フィナーレでは、特別ゲストとして世界的ヴァイオリニストの三浦文彰氏が登場。「交響曲『宇宙戦艦ヤマト』より 第4楽章 明日への希望」の壮大な調べが、会場を感動で包みました。
「今回は、オーケストラの魅力を凝縮し、一流の音楽家である教員の先生方やゲストにも登場いただいて、非常に聴きごたえのある豪華なステージが実現しました。大友直人先生と宮川彬良さんのダブルコンダクターなど、他にはない貴重なプログラムでお客様に楽しんでいただけたと思います」と、プロデュースを手掛けた演奏学科長の三原剛教授。8月28日には、東京都港区のサントリーホールで東京公演が開催されました。世界屈指のコンサートホールでプロの演奏家とともに本番のステージを体験できたことは、学生たちにとってかけがえのない学びとなりました。
学生たち自身が「魅せる」楽曲をプロデュースした
ポップスステージ
ポップスステージ
演奏学科ポピュラー音楽コースと大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科ポピュラー音楽コースの学生たちが出演するポップスステージは、関西有数の大型ライブハウス、Zepp Nambaで行われました。
プロムナードコンサート恒例の1年生全員によるゴスペル曲からスタート。続いてオーディションで選抜された10組の学生バンドユニットが、ジャズやロック、J-POP、ヒップホップなど多彩なジャンルの楽曲を披露しました。学生たちは、楽曲ごとに演出される華やかな照明やプロの手による完璧な音響に支えられ、これまでの練習の成果を出し切って演奏。熱量たっぷりなステージが続き、会場は大いに盛り上がりました。
司会進行を務めた森川美穂教授が、学生メンバーたちとのトークで、楽曲にこめた思いやふだんの練習風景のひとこまなども紹介。緊張しながらも笑顔で語る学生たちの表情から、バンドそれぞれの個性や魅力が伝わってきました。会場全体が出演者を力づけてくれているようなあたたかい雰囲気の中、全力でパフォーマンスした若きミュージシャンたち。観客から贈られる拍手や歓声は、何よりも大きな糧になったようです。
演奏学科ポピュラー音楽コースでは、年間を通じて様々なコンサートを開催しています。中でもプロムナードコンサートは、本格的な音響照明設備が整ったZepp Nambaが会場なので、よりいっそう迫力のあるステージが実現できます。響きの豊かなコンサートホールではアコースティック系、この大型ライブハウスでのポップスステージでは多様なジャンルの楽曲を選曲。あくまでも学生たち自身のやりたいことを核にしながら、各自の個性や力量を見極め、全体のバランスや流れを見てプログラムを構成しています。
去年まではコロナによる制限がありましたが、今回は1年生全員でのゴスペルコーラスも大人数のビッグバンドも、全員で集まって思う存分練習できました。対面でコミュニケーションしながら音楽をつくる醍醐味を堪能できたと思います。音楽には正解はなく、生の演奏を通じたお客様とのコミュニケーションで初めて良し悪しがわかるもの。バンドの一員として舞台に立って気づくことも多く、本番のステージを体験することでしか得られない学びがたくさんあるのです。
音楽のジャンルが細分化され、発信方法や楽しみ方の選択肢も増える中で、これからは自分の正解を自分自身で見つけていくことが重要です。だからこそ、まずは自分で考えて、取捨選択し、自らアクションを起こせるようになってほしい。授業でもそのための土台を作ることをサポートしています。ポピュラー音楽コースは自由度が高く、多様なジャンルの第一線で活躍するプロ教員が揃い、「こうでなければ」はありません。自由にのびのびと、自分が本当にやりたいこと、自分に合っているものを探しながら有意義な4年間を過ごしてほしいと思います。
プロムナードコンサートには、2年次から毎回出演させていただいています。今年は例年以上にソリストの方が多く、大友直人先生と宮川彬良先生のおふたりに指揮をしていただけたのも本当に特別なことでした。大友先生は、学生の私たちにもわかりやすい的確な指示でより良い演奏に仕上げてくださり、宮川先生は笑顔の絶えない合奏で、作曲家である先生ならではの目線から私たちの音楽への理解を深めてくださったように感じます。
何よりもうれしかったのは、会場に大勢のお客様がいらっしゃったこと。コロナの影響で演奏会の中止や入場制限が続いてきたため、学生最後のプロムナードコンサートで満員のお客様に演奏を聴いていただけて感激でした。また、国内でも最高峰と言われるサントリーホールで演奏できたことは、学生全員にとってかけがえのない財産です。関西の学生オーケストラがこのホールで演奏できることはめったにないと聞き、ワクワクと緊張感の中で一生懸命練習してきました。このように貴重な体験をさせていただけたことに感謝して、今後につなげていきたいです。
同じ舞台上で間近から超一流の音楽家の演奏を体感できることには、観客として鑑賞するのとはまた違う感動があり、それに自分自身も参加して演奏できるのは大きな喜びです。ここで学んだことを糧に、卒業後も演奏家として活躍できるよう、頑張りたいと思っています。
今回合唱した「ハナミズキ」は、平和を願う楽曲。言葉一つひとつを大切に、気持ちを込めて丁寧に歌うことを心がけました。プロムナードコンサートでは、ソロで歌うのとは違ってみんなと思いを一つにして合唱するのがとても楽しく、歌というものの深みをさらに実感できます。今年は東京公演でサントリーホールという素晴らしい舞台に立つこともできて、本当に感無量でした。客席から演奏を聴ける機会もあり、さまざまなことを吸収できたと思います。
高校の合唱部で歌の魅力にふれた私は、大阪芸大に進学した先輩から話を聞き、「ここで声楽を学びたい!」と思って進学しました。プロの先生方からオペラや声楽を実践的に学ぶ授業は、とても中身が濃いです。1年生の時に先生から「会場のお客様全部に認められなくていい、誰かひとりの心に深く刺さるような歌をめざして」と言われた言葉が印象に残り、練習時から「私の歌を届けるんだ」という信念をもって取り組むようになりました。
将来の目標は、海外に留学して歌の道に進むこと。もし好きなことがあるけど進路に迷っている人がいたら、「できるかどうかわからない」じゃなくて「やるんだ!」という強い思いで殻を破り、挑戦してほしいです。大阪芸大には音楽以外にも美術や写真、映像など多くの学科があり、学科を超えたコラボなど、いろいろな興味や関心を広げられるのも楽しいですよ。
プロムナードコンサートは、演奏学科のコンサートの中でも最もスケールが大きく、特に気合が入ります。僕がプロデュースしたのは、ヴォーカルの三好さんの歌声が最高に引き立つようにと選んだ楽曲。メンバーも音楽の嗜好や人間性が合う人を集め、4年生として後悔のないように細部までこだわったので、コンサートのトリを務められたのはうれしかったです。
今回は他にも3つのバンドで演奏しました。バンドに参加する際に大事にしているのは、その曲で自分がどんな役割を果たせるかということ。練習中もアンテナ全開で周囲をじっくり観察し、改善点をメンバーに指摘します。そうやって曲を仕上げていくのがバンドセッションの面白いところ。どれもジャンルが違って準備は大変だったけれど、楽しかったですね。
僕は大阪芸術大学短期大学部を卒業して3年次編入したのですが、芸大では学びや活動の幅がぐんと広がりました。施設や先生方もすごいし、技術も意識も高い友人たちの影響を受けて、自分も高められたと感じます。今は、昨年立ち上げたバンド「Mini M!kke(ミニミッケ)」の活動に熱中。卒業後は、音楽講師やピアノ演奏などフリーの仕事で生計を立てながらバンド活動を続け、スタジオミュージシャンもめざしたい。楽しむことも大事だけど、本気で音楽をやっていくという覚悟を持つことで、大学で得られるものもさらに大きくなると思います。
今回のポップスステージは2曲出演。ヴォーカルを務めた曲では、音域の広い難曲をどう自分らしく表現するか悩みながらも、バンドを企画した大橋くんのプロデューシングに全力で応えました。歌い方や曲の構成、衣裳、振付けまで、彼の意図を最大限に体現できるよう頑張ったつもりです。もう1曲はビッグバンドにコーラスとして参加し、ヴォーカルを引き立て、会場を盛り上げようと心がけました。メンバーとわちゃわちゃ楽しく歌えたのも良かったです。
こうしたライブハウスでは、ステージングにも力を入れて、照明や空間ごとお客様に楽しんでいただく。一方で、歌そのものを聴きたいお客様が多いコンサートホールは、きちんと歌や歌詞を伝える。会場の特徴やお客様のことを考えたパフォーマンスを意識できるようになったのも、コンサートでたくさんのステージを重ねてきた成果かなと思います。
演奏学科では、大きな舞台に立つだけでなく、コンサートごとに別のメンバーとバンドを組んだり、会場でスタッフさんとやり取りしたり、人と関わる機会が多くあります。そんな中で培われたコミュニケーション力やマナー力を強みにして、これからは新しい業界にチャレンジするつもりです。卒業まであと半年、秋や冬のコンサートにも出演し、卒業公演では自分の理想の大所帯のバンドで歌って、学生生活を締めくくることができたらいいなと思っています。