本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

芸術計画学科×カフェ英國屋「アート de ディスタンス」 芸術計画学科×カフェ英國屋「アート de ディスタンス」

芸術計画学科 / 産官学連携
2021/10/29

大阪芸術大学とカフェ英國屋によるコラボギャラリー「アート de ディスタンス」が、2021年4月よりスタート。大阪市役所内の「カフェ英國屋」を会場に、コロナ対策の「新しい生活様式」に対応したアートの鑑賞スタイルを提案し、芸術計画学科の学生たちが展示プロデュースを担当しています。7月からは第2弾として、美術学科を卒業した2名のアーティストの作品が展示されています。

赤のロールスクリーンとイーゼルが引き立てる佐田涼香さんの作品
綾理恵さんの作品は、ナチュラルな木目の壁面に調和するよう展示

ニューノーマルなアート鑑賞スタイルを提案

店内に作品をバランス良く配置することで客席間の距離を保ち、お茶や食事を楽しみながらアートを鑑賞できる「アート de ディスタンス」。実施されている大阪市役所地下2階「カフェ英國屋」では、市役所職員や来庁者の方々が気軽にアートにふれられる場としても話題になっています。

芸術計画学科の「プロジェクト演習」の一環として、学生たちが企画から携わり、展示プロデュースを実践。同時に、コロナ禍で発表の場を失った本学卒業生作家の活躍の場を作りだし、応援しようという思いも込められたプロジェクトです。


Vol.1(4月5日~7月21日)では芸術計画学科出身で作家として活動する卒業生が出展し、展示作品が完売した作家も。Vol.2(7月26日~11月19日)では、美術学科卒業生の綾理恵さんと佐田涼香さんが新たに起用され、「夏」をテーマにした計16点の作品が展示されています。入口で目を引く大きなパネルや、手に取りやすい卓上メニュー型の作家コメントなど、来店者の興味を引く様々な工夫も盛り込まれています。


遠くからも注目を集める入口の大型パネルで集客効果もアップ
各テーブルに作家コメントを配置。目に入りやすく、気軽に読める

<「カフェ英國屋」経営企業コメント>

三和実業株式会社 常務取締役
西村賢太さん

ゆったりした気分で過ごせる場所がこれまで以上に求められる今、「アートde ディスタンス」は、時代に即した素晴らしい空間を演出できる企画だと考えています。大阪芸大卒業生作家の若々しさあふれる作品は、見るたびに新鮮な気持ちになりますし、芸術計画学科の学生たちが新しい目線で趣向を凝らしたギャラリーは、お食事や寛ぎの時間を華やかに彩ってくれています。作品販売にもつながり、作家や学生の方々のモチベーション向上にもなっているのではないでしょうか。
学生の皆さんと直接打合せした際は、熱心に質問する意欲旺盛な姿が印象的でした。今後も設営時の動き方などいっそう学びを深めていただき、さらなる成長を期待しています。お客様がアートに親しんでいただける場づくりに貢献できるのは、私たちにとっても喜びです。コロナ禍で疲弊している社会に、これからも皆さんの芸術で癒しや憩いを贈っていただきたいと思います。

芸術計画学科 特任教授
井上茂樹先生

この企画は、カフェ英國屋を経営する三和実業株式会社とのコラボレーションにより、本学発のアートや学生の演出アイデアを社会に発信するプロジェクトです。大阪市役所という公的機関内のカフェのため、一般の飲食店よりも多くの制約がありますが、学生たちはそれらも考慮しながらアイデアを出してプランを構築。学外の方々とコミュニケーションを取って企画を推進するプロセスを実際に体験し、様々なノウハウを学んでもらえる機会になっています。
Vol.2 では、Vol.1で培ったスキルを引き継ぎながら、より良い展示デザインを模索しました。展示には、提案する側の思いと、その思いを効果的に伝えるための技術や感性が大切です。実社会では、規制や予算など色々な課題をクリアしながらクライアントに納得してもらうことが不可欠ですが、その上でクリエイティブな姿勢を忘れないようにしてほしいですね。

芸術計画学科 3年生
岡田梨花子さん

コロナ禍をふまえた今までにない新しい展示企画という点に惹かれて、チームの全体リーダーに挑戦。プロジェクトの進捗管理、展示設営、プレスプレビューの計画・進行などを行いました。先を見据えて計画を練る難しさに悩み、初めてのリーダー体験で苦労もありましたが、実際に作家さんの作品を展示し、思い描いていたギャラリー空間を実現できて、大きな達成感を覚えました。
「プロジェクト演習」は、イベントを一から作り、書類作成や外部との調整など、実際にやってみなければわからない多くの工程を体験できる貴重なチャンス。チームでプロジェクトを進行するという経験は、これからどんな進路を選んでも生きてくると思います。次回以降の「アートde ディスタンス」も、メンバーが楽しく取り組めるチーム作りを意識しながら、また一味違う内容で、お客様にお店で過ごす時間を楽しみにしてもらえるような展示を行いたいです。

芸術計画学科 3年生
松倉 楓佳さん

アート系の授業を受講したのがきっかけでアートの企画やイベントに興味を持つようになり、このプロジェクトに参加。私は副チーフとして、2年生が作成した資料や広報物、各セクションの進捗状況の確認などを担当しました。
これまでにない初めてのプロジェクトで準備期間も短く、最初はわからないことだらけ。うまくいかない点も多かったのですが、計画を見直して再度スケジュールを組み直し、最終的には余裕をもって作業に取り組めました。色々と努力した分、無事に達成できてやりがいを感じられる体験になりました。
芸術計画学科ではイベントやアートなど様々な分野に関わることができ、芸大にある多くの学科の学びにふれられるので、とても楽しいです。広告や広報への興味がふくらみ、将来はSNS等で自ら発信するような職業に就きたいと考えています。

<作家コメント>

美術学科 2016年卒業
綾理恵さん

市役所内のカフェをギャラリーにすると聞いた時、コロナ禍で作品発表の機会が限られる状況を逆手に取って、こうした独創的な展示を行うという発想に驚きました。芸術計画学科の学生の皆さんから、今回のテーマや季節感に合う作家として選んでいただいて、とてもうれしかったです。
私が絵を描く時は、森や樹々、水や空気など自然の揺らめきを感じながら、イメージが溶け込むようにと心がけています。地階という空間だからこそ、少しでも訪れる人が息をしやすい柔らかい雰囲気作りができたらと考えて、作品を選びました。
学生チームと準備や打合せを進め、作品の展示も協力して一緒に行いましたが、色々とサポートしてもらえて心強かったです。学生時代にこうした産学連携の取り組みに参加し、現場に出られるのはとても意義のある経験。在学中から社会と接点を持つことで、卒業後の活躍もさらに広がっていくのではないでしょうか。

美術学科 2018年卒業 大学院博士課程前期 2020年修了
佐田涼香さん

物にも心があると伝わるようなあたたかい絵を描きたくて、日々制作に取り組んでいます。出展のお誘いをいただき、実際にカフェでVol.1の展示を見て、アートで安全や安心を生みだすのはとても素敵な企画だと思いました。あちこち出歩くのも難しい今、少しでも作品を見てもらいたいという気持ちも、参加を決めた理由です。
テーマに指定された「夏」は大好きな季節なので、作品制作にも力が入り、スイカやヨーヨーなど夏らしいモチーフを選びました。このカフェは様々なお客様が利用されると思いますが、食事どきのちょっとした癒しになったり、忙しい方や疲れた方にささやかな安らぎを感じてもらえればうれしいです。
今回は芸術計画学科にプロデュースしていただきましたが、大阪芸術大学にはたくさんの学科が揃うので、たとえば工芸や写真などジャンルを越えてコラボするのも楽しそう。これからチャンスがあれば、色々な企画に挑戦してみたいです。