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奇才のミュージシャン和田永氏と学生がバーコーダーで音を奏でる 奇才のミュージシャン和田永氏と学生がバーコーダーで音を奏でる

アートサイエンス学科
2024/02/19

古い家電を楽器として蘇らせ、アーティスト/ミュージシャンとして活動する和田永氏による特別授業が2023年11月14日、12月5日の2日間にわたり、アートサイエンス学科の学生に向けて行われました。12月5日は、学生のプレゼンテーションや和田氏のミニライブが開催され、学生のアイデアも紹介されました。

ユニークな楽器を製作し唯一無二の活動を行うアーティスト

和田氏は、バンド活動に加え、2015年から電気メーカーに勤めるエンジニアや、ミュージシャン、デザイナーなどさまざまな人と共に電子楽器を創作して合奏する「エレクトロニコス・ファンタスティコス!(通称:ニコス)」というプロジェクトを開始。現在、東京・茨城・京都・愛知・秋田の5カ所を拠点に活動しています。音楽好き、祭り好きが集い、日々妄想や知恵、技術を共有しながらものづくりを続けています。「ブラウン管ドラム」や、小型テレビを使用した「テレレレ」「テレナンデス」「テレ線」、扇風機のファンを利用した「扇風琴」など、ユニークな楽器を製作。新しい楽器製作のアイデアは、実際に手を動かしている時や、仲間と妄想を話し合っている時に生まれることが多いと言います。「特にニコスでは、ミュージシャンのイマジネーションとエンジニアのスキルが掛け合わさった時の化学反応でいつも何かが生まれています」と語ります。

使い古されたテクノロジーから新たなルーツミュージックを

11月14日の授業は、和田氏の自己紹介の後、音源が流され、どのような製品から音が生成されているかを学生に問うミニクイズからスタートしました。「扇風機」や「乾燥機」などの解答が出ましたが、答えは「GPU(パソコンなどのグラフィックボード)の冷却ファン」。和田氏は実際にその楽器を取り出し、パフォーマンスを披露しました。その後、動画を交えたスライドを通して、自身のアーティスト/ミュージシャンとしての活動を紹介。学生時代に自ら制作したというオープンリール式テープレコーダーを改造した装置での演奏動画も公開。和田氏は「テレビのブラウン管や、旧式の家電を楽器として再生させるというアイデアは、使い古されたテクノロジーから生まれる新たなルーツミュージックの発想から生まれた」と説明しました。

バーコードを拡張するという課題に学生が着手

授業では、バーコードリーダーのスキャン信号をレジではなく音声端子に接続することで音を鳴らす「バーコーダー」を紹介。和田氏は、縞模様がプリントされた用紙や、ボーダー柄の衣類をリーダーで読み取り、音へと変換させていく原理を説明しながら演奏を披露しました。その後、バーコーダーを学生に配布。4〜6人のグループに分かれ、実際に装置や、バーコードが印字されている用紙などを使用して音を生成し、どのような気づきがあるかを模索する時間が設けられました。学生たちが装置に触れながらアイデア出しに着手し、バーコーダーを使った新たな発見をグループごとに発表。和田氏から、第2回目の授業までに「バーコードを拡張せよ!」という課題が出されました。

学生たちが各自のアイデアをプレゼンテーション

12月5日に行われた授業では、各グループの学生たちが課題のプレゼンテーションを行い、それぞれのアイデアを披露しました。バーコード付きの電動ドリル回し、それをバーコーダーで読み取ったものは重厚な音を発信。他にも、電気コードリールを使用したものや、印刷したバーコードを筒状にして太鼓のバチのようにして振りリーダーにかざす、ラジコンやトイオと呼ばれるチーク系のキューブ型のロボットトイにバーコーダーを取り付けて、その動きをリーダーで読み取って音を出すなど、さまざまなアイデアが紹介されました。

和田氏は「今回は短時間での関わりだったのですが、それがゆえに即興的でライブ感のある授業になったかと思います。学生たちが、その場で手に入るものを次々と組み合わせてブリコラージュしていく柔軟さを目の当たりにしました。今回の授業は、情報に直に手で触れるような電子音楽体験になったかと思います。今後も、自覚的に、あるいはすこし斜めからメディアやテクノロジーを捉えることで、自分なりの次元を足すことで広がる表現を見つけてもらいたいです」とコメントしました。

ユニークな楽器演奏や学生のアイデアが披露されたミニライブ

授業の後に行われたミニライブでは、アートサイエンス学科の学生を中心に多くの観客を前に、和田氏がパフォーマンスを披露。コイルピックというものを使用し、ブラウン管のテレビの表面から出る静電気をキャッチして、縞模様の違いによって音が変わる仕組みのブラウン管テレキャスターや、バーコーダーによる演奏が行われました。学生がユニークな楽器の数々に触れる機会も設けられ、ミニライブでも学生が授業でプレゼンテーションしたアイデアが紹介され、京都から訪れたニコスのメンバー数名も演奏に参加。最後に和田氏のソロによる扇風琴の演奏が披露され、1時間程度のライブは幕を閉じました。2日間にわたる授業を終えて、和田氏は「最初は緊張感のある雰囲気を感じたのですが、授業で学生たちが実際に手を動かし、ライブを間近で見てもらう中で、皆さんの中に少しづつ閃きが起きている感覚がありました」と話します。

イマジネーションを駆使して「スパークする」

和田氏は今回の授業を通して、次世代を担う学生に「スパークせよ!」と伝えたかったと言います。「“古くなった家電を楽器化して演奏する”という考え方は、今ある何かに別の価値を見出すという閃きと直結しています。既にあるものと、あるものとがアクロバティックな関係性で結ばれて回路がつながる瞬間を、僕はスパークと呼んでいます。演奏もある意味、心身のスパークだったりします。身近には未発見の回路が大量に転がっているに違いないです。見逃さず、想像力を駆使してスパークしてほしいです」と話しました。

アートサイエンス学科 3年
久保 亮哲 さん

今回のワークショップで初めて和田さんのことを知ったのですが、バーコードリーダーのスキャン信号を音にして奏でるという斬新なアイデアと表現がすごいと感じました。バーコードだけでなく、身の周りにある扇風機やテレビ、パソコンの冷却ファンなどを楽器にしているので、そんな発想があったのかと驚きました。和田さんが用意してくれたバーコーダーを初めて見た時に、バーコードには、点を手動で動かすタイプと、線の上を自動で行ったり来たりするタイプがあって、それらを動かすことで読み取るバーコードの形や、動かす速さによって出る音が変わってくるので、ラジコンに取り付けて走らせたら面白いのではないかと考え、そのアイデアを発表しました。他の人のアイデアもすばらしいと思いました。ミニライブではまさか和田さんに私のアイデアを紹介してもらえるとは思ってもいなかったので、とても光栄でした。

アートサイエンス学科 1年
村田 由美さん

今回のワークショップで初めて和田さんのことを知ったのですが、バーコードリーダーのスキャン信号を音にして奏でるという斬新なアイデアと表現がすごいと感じました。バーコードだけでなく、身の周りにある扇風機やテレビ、パソコンの冷却ファンなどを楽器にしているので、そんな発想があったのかと驚きました。和田さんが用意してくれたバーコーダーを初めて見た時に、バーコードには、点を手動で動かすタイプと、線の上を自動で行ったり来たりするタイプがあって、それらを動かすことで読み取るバーコードの形や、動かす速さによって出る音が変わってくるので、ラジコンに取り付けて走らせたら面白いのではないかと考え、そのアイデアを発表しました。他の人のアイデアもすばらしいと思いました。ミニライブではまさか和田さんに私のアイデアを紹介してもらえるとは思ってもいなかったので、とても光栄でした。

アートサイエンス学科 1年
本多 櫂人 さん

テレビのブラウン管やオープンリール式テープレコーダーなど、使われなくなった旧式の家電を楽器として蘇らせ、それを活用しメディアを通して広めているのはすごいと思います。今回、自分たちでバーコーダーを使用するアイデアを出し、制作しました。1回目の授業の時は、他の人たちからたくさんアイデアが出て、自分自身ではあまり納得がいっていなかったですが、2回目の授業では和田さんに褒められたのでうれしかったです。私たちのアイデアがより良くなるようなアドバイスもたくさんくれて、次々とアイデアが浮かんでいるのを目の当たりにし、プロのアーティストはやはりすごいなと感じました。和田さんの授業を通して、使われなくなった家電を楽器にして音楽を奏でるという斬新な発想に感銘を受けました。学生生活はもちろん、将来働くようになってからも、新しい発想を生み出し、誰も思いつかなかったようなことを形にしていきたいと思います。

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