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企業を巻き込んで万博での出店をめざせ!「世界のおにぎり」プロジェクト 企業を巻き込んで万博での出店をめざせ!「世界のおにぎり」プロジェクト

デザイン学科 / 産官学連携
2024/09/09

万博でお披露目する「世界のおにぎり」がオープンキャンパスにやってきた

デザイン学科のコースや学年を横断して様々なテーマに取り組むハイパープロジェクト「わたしぼくデザイン」。この授業では2025年の大阪・関西万博へ向けた取り組みを進めてきました。それが、日本の代表的な食べ物のおにぎりに世界の料理を組み合わせ、おにぎりを通して世界の国や食文化を知ってもらおうという「世界のおにぎり」プロジェクト。3年前から学生たちが、継続して取り組み、デザインしてきたおにぎりとキッチンカーが、2024年5月19日のオープンキャンパスで、大阪芸大にやってきました。キッチンカーの前にはオープンキャンパスにやってきた高校生たちが長蛇の列をなし、独創的な「世界のおにぎり」の味わいを楽しんでいました。

オープンキャンパスの来場者のみなさんは、ごはんと海苔、そして世界の料理との意外な組み合わせを楽しんでいました
トマト、ハリッサ、卵を使ったチュニジアの料理オジャを具材にしたおにぎり。ピリリッとした辛味がご飯にマッチ

「わたしぼくデザイン」は共創のデザインプラットフォーム

ハイパープロジェクトの一環として2019年から開講されている「わたしぼくデザイン」が進めている「世界のおにぎり」プロジェクト。それは共創のデザイン手法から生まれたのです。学生たちが様々な閃きを持ち寄り、意見を交わしあいながら、一つのテーマにみんなの意見を集束させたり、派生したアイデアをみんなで発展させていくのです。このアイデアの展開方法を指導するデザイン学科デザインプロデュースコースの清水 柾行教授は「デザインは、一般的には一人ひとりが自分のなかで、アイデアを深めていくというイメージを持っていると思います。でも、わたしぼくデザインでは、一人ひとりのアイデアをみんなで共有し、組み合わせたり、拡張したりします。そして、それを持ち帰り個人が自分のアイデアとして深めたものを、またみんなで共有し発展させていくことを繰り返しながら、最終的に良いアイデアを導き出していきます」と話されていました。

注文を取る際にも、お客さまの要望をしっかりヒアリングして、今後のおにぎり作りにフィードバック
噛み締めるとほろりとほどけて、世界各国の料理とご飯が丁度よく混じり合う世界のおにぎり
3年の月日をかけて、学生たちによる店舗運営も円滑に行えるようになってきました

対話しながらアイデアを育む「わたしぼくデザイン」から「世界のおにぎり」がはじまりました

2019年に始まった「わたしぼくデザイン」では最初に想像力をデザインする体験型展覧会を開催しました。これは違和感や身体の記憶、感覚を知る体験等を通して、一人ひとりの中に眠る想像力に楽しみながら気づくためのもので、期間中、学生だけではなく一般も含め多くの来場者で賑わいました。

(より詳しい内容はこちら https://www.watashiboku.com/3rd-project)

わたしぼくデザインの立ち上げ当初の2019年末に行われた「わたしぼくデザイン」の展覧会

万博とその先の未来のためのアイディアワークがはじまりました

コロナ禍を経て2021年に再始動してから、新しいメンバーと共に対話を繰り返しながら1年間で155のアイデアが生み出されました。毎週、毎週それぞれのアイディアから新しいアイディアへ展開していく中で、徐々に方向性が見えてきたものをグループ間でその方向性を深めていきながら、最終的に食をテーマにした「世界のおにぎり」が産声をあげたのです。

アイデアをみんなで共有しながら発展させていく

方向性が決まると、実際に世界各国の料理店やおにぎり専門店を訪問し、実際に試食して、お店の方にインタビューするなどリサーチを繰り返していきます。そのプロセスのなかで、お互いが得た知識やアイデアを学生同士で共有し、それぞれがレシピのアイデアに落とし込みます。そしてレシピの中から食材を探しスパイス等を検討しながら実際に試作を行います。おにぎりを的確な評価をするためには、実際に食べてみることが一番。レシピを考えた時のイメージと、実際の食べてみた際の差がどこにあるのか?食べてみて初めてわかることも多く、ごはんと具材のバランス、調味料の塩梅など細かく調整し、おにぎりとしての完成度をあげていきます。

みんなで手分けしながら試作を楽しく真剣に行います

企業との産学連携プロジェクトに発展

このプロジェクトを学生とともに進めてきたのは、のり専業メーカーとして100年の歴史を誇るニコニコのり株式会社。商品化にあたり、学外のシェアキッチンにニコニコのり株式会社のスタッフを招いて、4種類の世界のおにぎりを学生がプレゼンテーションしました。そこで、学生たちのオリジナリティあふれる発想力や料理としての完成度に、みなさんは驚かれたようです。試食会での高評価をきっかけに、大阪芸術大学とニコニコのりさんとが連携協定を結ぶことになりました。そして、2022年の秋にはキッチンカーでの実験的な販売を実施することになったのです。その舞台となったのは、1970年の大阪万博ともゆかりの深い「ららぽーとEXPOCITY」。当日は、販売のためのツールもデザインし、学生たちがキッチンカーで、実際におにぎりを握って販売。実際に買っていただいたお客さんからのアンケートも集計し、今後の活動に役立つフィードバックを得ることもできたのです。

2025年の大阪・関西万博に「世界のおにぎり」出店が決定!

「わたしぼくデザイン」は、日本の代表的な料理おにぎりを2025年の大阪・関西万博に来場される世界各国のみなさんに「世界のおにぎり」を楽しんでもらいたい、という目標を掲げています。それは、来年の万博の重要なテーマのひとつが「共創」で、「わたしぼくデザイン」で進めている共創のデザインと響き合うものがあること、そして食を通じて新たなコミュニケーションが生まれる可能性があることです。学生たちは、大阪・関西万博で「世界のおにぎり」を世界各国の人々にお披露目するという目標のもと、ATC OSAKAでの「プレ万博」や「キッチンカーコレクション」、「まちごと万博カーニバル」といった客層の異なるイベントに出店するごとに、新たなおにぎりレシピを開発していきました。そんな学生たちの活動は、新聞やニュース番組に取り上げられ徐々に反響を広げていきました。その結果、大阪・関西万博の大阪外食産業協会のパビリオンで、象印マホービン株式会社がプロデュースする店舗で「世界のおにぎり」が販売されることが決まりました。

また万博へ出展するフランスやイギリス、スイス、オーストリア等の在公館にも協力いただきながら、より一層味をブラッシュアップさせ、今も毎週「わたしぼくデザイン」のメンバーは、来年に向けて新しい国のおにぎりの開発や関連するデザインツールの制作、そしてPR活動を一所懸命続けています。

神戸のキッチンカーコレクションではメンバーお揃いのTシャツを着用してイベントに臨んだ
4月に行われた京都の関西日仏学館で定期的に行われるLe Marcheにも出店し、外国人のお客さんにも好評を得ることができました。
グランフロント大阪のうめきた広場で開催された「大阪産(もん)マルシェ Road to EXPO 2025」にも出店。長い行列が続き今までで最高の販売数を記録しました。
そのイベントではメンバー2人がステージに上がり「世界のおにぎり」をPRしました。
愛着のあるプロジェクトだけに、ハイパープロジェクトを履修していない4年生の「わたしぼくデザイン」のOBもボランティアとしてアイデア出しに積極的に参加
デザイン学科デジタルメディアコース4年生
今井 凛さん

1年生からハイパープロジェクト「わたしぼくデザイン」を受講。その一番の理由は授業のオリエンテーションで、大阪・関西万博に参加することをマイルストーンにすると聞いたからなんです。せっかく大阪の大学に通っているのですから、大阪・関西万博に何らかの形で関われるというキャッチフレーズに心を鷲掴みにされてしまったのです。僕が参加した2021年の時点では、まだ「世界のおにぎり」というテーマは決まっていませんでした。数多のアイデアを方向性やジャンルごとに仕分けして、有望なものを絞り込んで、さらに発展させていく最初のプロセスから関われたのは、貴重な経験でした。「わたしぼくデザイン」で実践している共創のデザインプラットフォームという方法論は、みんなでアイデアを発展させていくところが魅力。その面白みにはまって、ハイパープロジェクトが履修単位になっていない4年生になった今も「わたしぼくデザイン」から抜けられないんです。

デザイン学科デザインプロデュースコース4年生
石田 茉那さん

実は1年生のときにハイパープロジェクト「わたしぼくデザイン」のことを知って、面白そうだなと思っていました。でも3年生になった時再び履修し、デザインプロデュースのスキルと積極性を買われて、いきなりリーダーの大役を担うことになりました。この授業は、とにかくアイデアを目一杯に出し合う中で、みんなのアイデアに刺激されて、また角度の違うアイデアを出すことが大切。だから、アイデアをいっぱい出すことが、いつの間にか得意になってしまいました。もちろん、玉石混交ですけどね、それでいいんだと思います。この授業の面白いところは、企業さんと直接話ができて、商品を作って、お客さんからの反響が返ってくるというプロセスを学生でありながらもリアルに体験できるところ。土日返上でイベントに出店したり、リサーチに行ったりと忙しいけれど、すごく面白いんです。本気で取り組んでよかったな、と思っています。