中之島が魔法の島に『OSAKA光のルネサンス2023』 中之島が魔法の島に『OSAKA光のルネサンス2023』
大阪の冬を代表する一大イベント「大阪・光の饗宴」。そのコアプログラムである「OSAKA光のルネサンス」(以下、光のルネサンス)が2023年12月14日から開催され、12日間にわたって中之島エリアがきらびやかな光りに包まれました。
芸術計画学科では恒例となっているバラ園での展示プログラムを開催。新たな演出を積極的に取り入れたプログラム「生命の森~今森の仲間が語り始める~」で来場者を楽しませました。
新たな演出プランとイベント運営へのチャレンジ
2023年は、学内コンペティションで当選した学生のアイデアを元にまったく新しい演出プランが考案されました。今回は展示タイトル「生命の森~今森の仲間が語り始める~」が示す通り、中之島全体を魔法の島に見立て、そこにある森(バラ園)で暮らす生き物たちの言葉に耳を傾けるというストーリーが構成されました。演出プランを実現するため、音響・照明は過去最大規模の機材を投入。芸術計画学科の多様性やチャレンジ精神を示す絶好の機会となりました。
運営は例年通り3年生が主体となり2年生がサポートを行う形で進められました。しかし、バラ園の敷地をめいっぱい使用する展示内容は年々規模が拡大し、すべてを学生主導で行うのは難しくなっています。電気系統や照明・音響など、設備面については専門の先生や業者の協力を得ながら、現場での指導が行われました。設営の最終準備が進められる園内では、学生たちがバルーンのほか、物語に登場する生き物のオブジェを設置。前回とは趣を変える展示の全貌が少しずつ明らかになっていきました。
新型のデジタルサイネージやLEDネットライトなど、今回のために購入された機材も続々と設置され、連日、朝から夜半まで続いた設営作業も完了目前。バルーンが風の影響を受けやすいことを考慮して24時間計測可能な風向風速計が導入されるなど、安全に対しても例年以上の措置が取られました。プロジェクト演習で培われた学びを徐々に形にする中、学生たちの表情には喜びと同時に真剣さが増していきました。
夜の中之島に浮かび上がった魔法の島
夕方から徐々に日が暮れ始め、開場時間の17時には、一面すっかり夜の装いに。バラ園全体がライトアップされ、いよいよ展示がスタートします。今回は、新たなバルーン作品『ツリーヌ』を設置。「中之島を魔法の島にする」というコンセプトにもとづき、魔法をかけられたツリーヌも元気な挨拶で来場者を出迎えました。
来場者が歩く歩道横の芝生には今回の主役である森の仲間たちが配置されました。キノコにウサギ、トナカイなど、ライトに照らされた生き物たちは、近づくとそれぞれに森の暮らしを楽しんでいる様子を語って心を和ませます。来場者の動線を意識した音響や照明が斬新な演出案を具現化し、テクニカルスタッフの工夫がすみずみまで冴え渡ります。
終盤には海の生き物も登場。揺らめく姿が印象的なクラゲは海中でぶくぶくと呼吸する泡の音で喜びを表現します。2020年の展示で初登場したクジラの子どもは、軽快に泳ぐ様子を無邪気に表現していました。
バラ園を一周する間に「魔法の島」というコンセプトと、これまでのバルーン作品による芸術性を堪能できる今回の展示。LEDライトのきらびやかさや軽快な音楽で、魔法の島や森に暮らす生き物たちの物語を体感するアイデアはテーマパークのような楽しさ、にぎやかさを打ち出し、来場者を魅了しました。
私は今回、プロデューサーとしてイベント全体の代表というポジションを担当しました。プロジェクト演習の中でもとりわけ規模の大きいプロジェクトなので、「新しいことに挑戦できるのでは?」と期待を感じたのが参加を決めた大きな理由です。「光のルネサンス」は、以前にも当日の現場スタッフとして参加して、イベントの雰囲気は知っていたのですが、運営スタッフとして中に入ると管理面などでいろいろ大変だなと思うことがたくさんありました。その分、学びも多く、先を見越して計画を立てるスキルを身につけられたのは大きな収穫でした。これまでの「光のルネサンス」では、静かなテイストの展示が多かったのですが、今回は、テーマパークのような明るく、楽しい作風だったので、設営時にも、スタッフ間でその雰囲気がにじみ出ていたように思います。「魔法の島」というコンセプトが意外性に富んでいるし、私たち自身もワクワクしながら取り組むことができました。今回はプロジェクト演習の授業を2年生と一緒に受けることができたので、学年間の連携をスムーズに取ることができたのも良かったと思います。
私はもともとダンスや美容方面など、やりたいことがたくさんあって、高校時代には進路についてかなり迷いました。その中で見つけた芸術計画学科は、枠にとらわれていないところが非常に魅力的で、直感で受験を決めました。卒業後は、モデルさんと働きたいという目標があるので、ファッションショー関連のお仕事ができればと思っています。
前回の「光のルネサンス」では、最終日に1年生の現場スタッフとしてお手伝いし、先輩方の素晴らしい仕事ぶりを目の当たりにしたので、2年生のプロジェクト演習では第一希望として参加を決めました。たくさんのお客様が来場されるイベントでたくさんのことが学べるという点にも惹かれました。現場では初めて経験することや予想外のハプニングもたくさんあり、都度、対応することでイベント運営の大変さを知ることができました。今回は「中之島を魔法の島に見立てる」というコンセプトがとても意外性に満ちていて、実現させるには、どのような工夫が必要かということをみんなで話し合ったのですが、展示内容がにぎやかだったこともあり、とても楽しく取り組むことができました。私は今回、ディレクションを担当しており、「スタジオ演習」の授業を見学したり動画サイトで参考になるものを見て演出プランを考えていたのですが、やはり現場に来ると周囲にビルがあることで照明の見せ方が変わったり、音の響き方も変わってくるなど、イメージしていたことから変えるべき点がたくさんあると思いました。私はもともとテーマパークでの仕事がしたいと思い、運営など裏側などについて学ぶために芸術計画学科に入学しました。入学後はプロジェクト内での情報共有や進捗管理など、基本的なことがいかに大事であるかということを改めて実感しています。卒業後はテーマパークへの就職をめざして、人を喜ばせたいという自分がやりたいことの本質に向かって頑張っていきたいと思っています。
私は、2年生のプロジェクト演習では別のプロジェクトに携わっているのですが、「光のルネサンス」についても興味があったので、照明のテクニカルスタッフとして参加することができてうれしく思っています。今回は「魔法の島」というコンセプトに沿って、光る動物のオブジェを作ったり、バルーンも多くの点数を配置するなど、規模感も大きいので演出面を担うテクニカルスタッフと運営を担うコアスタッフの連携がとても重要であると感じました。学年や役職を越えて一緒に展示を作り上げるプロセスが非常に有意義で、『命根樹立』から順番にバルーンを照らし、島全体に魔法が行き渡るという演出をみんなで考えることができたのも、自分にとって大きな学びとなりました。学生の声で動物のセリフを録音したり、LEDネットライトを使って見せ方を考えるなど、新しい試みが増えたことで私たちが関わる部分が多くなったのもやりがいにつながりました。私は将来、人と積極的にコミュニケーションできるような仕事、その中でもイベント関連の職種が自分に向いているのではと思って芸術計画学科に進むことを決めました。プロジェクト演習では、1つのプロジェクトに対して組織で取り組むことにより、イベント運営のあり方と同時に、社会に出たときの立ち振る舞いについても勉強もできているなと感じます。卒業後の具体的な進路については、まだ模索中ですが、創作にも興味があるのでアート方面も視野に入れて考えられたらと思います。