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アートはもっとボーダレスに!【オダウエダ】 アートはもっとボーダレスに!【オダウエダ】

映像学科
2022/10/24

今、多くの才能が、間違いなく「笑い」の周囲に集まっている。芸人は、舞台やバラエティのひな壇から飛び出し、TVのニュースショーのMCとなり、映画監督、脚本、作家、そして絵画や造形などのアート作品まで、まさに垣根を超えて、ボーダレスに活躍する範囲を拡げている。それは、SNSや動画サイトを通じて国内そして海外まで広がり、芸人サイドからだけではなく、さまざまなジャンルのアーティストたちや、公共機関さえ「笑い」というコミュニケーションに、「笑い」を生み出す才能に、何かを期待し、なんらかの関係を持とうとしている社会現象のようだ。O Plusは、今、大きな過渡期を迎えている「笑い」を、そのど真ん中から探ってみようと考えた。「笑い」最前線の現場にいる彼らや彼女たちは、今何を考えて「笑い」をつくろうとしているのか。「笑い」を生活の中に溶け込ませている世代は、これからどうその関係を育てようとしているのか。そう、今ボーダレスに拡がる「笑い」をアート目線で見ていくと、相当面白い未来が見えてくる!


Photographs: Maciej Kucia, AVGVST
Styling: Go Momose

Hair & Makeup:Toru Sakanishi
Text: Mio Shinozaki

私たちの“笑い”は時代の変革の中にいる。
女芸人という言葉もなくなっていくかもしれない。

2014年に結成したオダウエダ。結成時に比べ、お笑いを取り巻く環境は大きく変化した。


小田「お笑いをできるメディアがテレビからさらに広がっていることは、すごく感じます。SNSの場が増えたことで、自分の芸に合う場所で活躍する人が増えていてすごいなと」


植田「自分たちがプロになったくらいの時期から、コンプライアンスが厳しくなりました。今は媒体を変えたらいろんなことができるという広がりを見せつつ、どこまでできるかを探っている状態です。私たちはまだ、変革の途中にいるのかもしれません」


実力派コンビとして名を馳せ、昨年末には『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝。植田が所属していた大阪芸術大学の落語研究会は、お笑い賞レースで複数のチャンピオンを輩出している。


植田「サークル勧誘で声をかけられ、落研のライブを見たんです。披露されたネタが今まで見てきたお笑いと違って、面白かった。私の中のお笑いの概念を、ぶち壊してくれたんです。生命体のいない星に雷が落ちて命が生まれた、みたいなショックを受けましたね」


彼女たちのネタは、いわゆる女性芸人のプロトタイプではない。2人のネタを男性が再現しても、違和感のないものが多い。お笑い界にも、ジェンダーレスの波が到来しているのだろうか。


植田「将来的には“女性芸人”という肩書きがなくなり、ひとつのカテゴリーとして捉えられるようになると思います。“トークが得意な芸人”みたいに、特徴の一つになるというか」


小田「私は自分が女性だということを、あまり考えたことがなくて。みんなも“自分が男性だから”とか“年を取っている”みたいなこと、考えなくていいんじゃないかって思うんです」


そして今、抱いている夢がある。


小田「頭の中で考えたものを、アニメにしたい。水中でコントをやるとか、リアルではできないこともアニメでならできるので」


植田「“オダウエダのネタはアニメに向くんちゃうか”って、よく言われるんです」


才能が集い、注目を浴びる“お笑い”」というジャンルだからこそ、今面白いと思うことが、アウトプットにつながる可能性を持つ。彼女たちの切りひらく未来に期待してしまう。

●オダウエダ

小田結希(おだゆうき)、植田紫帆(うえだしほ)により2014年4月4日結成。コントを得意とし、2021年にはカニを題材にしたネタで、「第5回女芸人No.1決定戦 THE W」の王者となる。