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2021年5月11日、読売テレビ放送社長の大橋義光氏を講師に招いて、放送学科1年生に向けた特別講義が行われました。本学教養課程の山本誠客員教授が聴き手となり、メディアや広告について、学生時代に学ぶべきことなど、様々な話題でトークを展開。コロナ禍のためオンラインの画面越しでありながらも、講師陣と学生間で高い熱量が行き交う実りの多い時間となりました。
1978年、読売新聞社に入社。2014年、読売新聞グループ本社取締役、中央公論新社社長。2018年、読売テレビ放送代表取締役副社長。2019年より読売テレビ放送代表取締役社長を務める。
大和ハウス工業取締役常務執行役員を経て、2021年4月より顧問に就任。宣伝・広告表現の考え方を社内に浸透させ、経営にも深く携わる。2021年4月より本学教養課程の客員教授に着任。
はじめに、石川豊子学科長が、マスメディア業界で長く活躍される大橋氏と、広告主として様々なメディアと関わってきた山本先生のプロフィールを紹介。「メディア人をめざす上で役立つ様々なお話を聴いてください」と学生たちに呼びかけました。
講義は「メディアとは何か」という問いかけからスタート。「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌というマスメディアと、SNSやインターネットとの大きな違いは、コンテンツを“作るだけ”でも“届けるだけ”でもなく、企画制作から、電波や紙など自前の媒体を使って伝達し、受け手とやり取りする所まで、全てを一手に担っている所です」という大橋氏の明快なコメントに、学生たちの関心が一気に高まります。
マスメディアとインターネットの活用について、「SDGsなどの新しい言葉や概念を広く世の中に伝えるのがマスメディアの役割。情報を入手する際はまずマスメディアを入口にして、インターネットで理解を深めるのが効率的ですね」と大橋氏。山本先生も、企業の宣伝広告として、テレビや新聞とインターネットを組み合わせたメディアミックス戦略がよく行われると言及します。
「インターネットの世界で個性の花を咲かせるための土壌づくりがマスメディアの仕事。互いを理解し個性を認めあうために必要な共通認識や常識を、マスメディアが正しく根付かせなければなりません」という大橋氏の説明に、デジタルネイティブ世代の学生たちも深く納得。社会を混乱させるフェイクニュース対策など、メディアの責任や課題についても話題となりました。
続いてメディア側と広告主、それぞれの視点から広告についてのトークに。大橋氏は、「広告はマスメディアの重要なコンテンツであると同時に、世の中を豊かにするためのツール。良い商品やサービスを知ってもらうことで、消費者も企業も幸せになり、経済や社会が元気になります」と持論を展開します。
大和ハウス工業の宣伝広告担当者として数々の人気CMを手がけてきた山本先生は、CM制作のエピソードを披露。広告クリエイターに求められる資質や、企業とメディアの相互関係について語りました。
自身の学生時代のエピソードに続いて、大橋氏から芸大生へのメッセージも。「情報発信に不可欠なのがインプット。学生の間にできるだけ幅広く、多くのことを吸収してください」。苦手分野や興味のないものにも挑戦し、人に誘われたら乗ってみることで世界が広がると学生たちにアドバイスを贈りました。
「一流の社員の条件は優しさを持っていること。コミュニケーション能力も高めてほしい」(山本先生)、「時には相手にとって耳に痛い忠告をするのも優しさ」(大橋氏)と、メディアの仕事だけでなく人生においても大切にしたい言葉も、学生たちの心に響いたようです。
講義後には学生たちから、ニューノーマル時代の情報収集やメディアの可能性、インプットの取り組み方などについて質問があがり、大橋氏が一つひとつ丁寧に回答。活発な質疑応答で今回の特別講義は締めくくられました。
受講した学生たちの感想
◇放送業界をめざす自分にとって有意義なお話ばかり。これから身につけるべき知識や磨くべき感覚について認識でき、学びの意識が大きく変わりました。
◇インプットの大切さを実感。最初は難しくても壁を超えれば楽しくなると聞いて励まされました。今後は食わず嫌いせず、何でも吸収していきたいです。
◇情報があふれるほどマスメディアの価値は高まる、という視点が印象的でした。
◇「時には厳しさも優しさである」という言葉が胸に沁みました。友人など身近な人間関係でも、相手のことを考える本物の優しさを持ちたいです。
◇いろいろな気づきや発見があって面白かったです。将来への漠然とした不安が少し解消され、前向きな気持ちになりました。