内容大阪芸術大学では、20世紀を代表する写真家のひとりであるアンリ・カルティエ=ブレッソン(Henri Cartier-Bresson, 1908-2005)の自選によるコレクション411点を所蔵しています。博物館では、その中から毎年テーマを変えて数十点ずつ紹介していますが、今回はポートレイト作品約80点を、2期に分けて展示します。 日常のふとした光景や何気ない仕草を瞬時に捉えて完璧な構図をつくりだしたカルティエ=ブレッソンはスナップショットの名手とも呼ばれ、その魅力はポートレイトの中にも色濃く見出すことができます。会期前半には彼が写真を本格的に撮り始めた20歳代から、1952年に有名な写真集『決定的瞬間』を刊行する40歳代半ばまでの作品を通して、彼が写真家としてのスタイルと地歩を固めてゆく過程を追っていきます。そして後半には、その後晩年までの作品で、折々に彼が出会った人々の姿と、彼がカメラの前の人々とかわす視線がどのように変化していったのかもご覧いただきます。 それらの作品の中には、彼が生きた20世紀の芸術・文化をつくってきた作家や文化人たちの姿も数多く含まれます。アンリ・カルティエ=ブレッソンがレンズを通して見つめた時代と世界はどのようなものだったのでしょう。本展では、彼の写真の美しさとともに、その時代確かにそこに生きた人々の息吹を、差し向かいにカメラを構えて立つアンリ・カルティエ=ブレッソンの視線から感じとってください。
※ 本展のポスターは森岡真菜(デザイン学科3年)がデザインしました。