ポジフィルムに写された一枚の写真が私の旅心を注いでしまった。
日本を発ち、25年ぶりに訪れたベネチアは前回と変わりなく、街のなかは自動車も自転車も禁止。7日間の滞在で本当によく歩く毎日だった。交通事故の心配も無く、お陰で複雑な道にも日に日に慣れていった。
古いビルの壁にはサンマルコ広場への道案内の表示が印字され、下を見れば石畳の模様でサンマルコ広場行きの道標がわかるようになっている。目まぐるしく変化を重ね続けている日本とは真逆の都市である。イタリアのなかでも車両進入禁止という独特の環境がこの街の保存につながっているのであろう。移動手段はバス(水上ボート)か観光用のゴンドラのみ。時々東京や大阪の喧騒から離れ、タイムスリップしてみるときっとリフレッシュができるだろう。
帰国後、新型コロナウイルスの影響でベネチア名物のカーニバルは中止になったと聞く。平穏が戻ることを祈るばかりだ。