大阪芸術大学スカイキャンパスにて11月1日より11月26日まで「今甦る125年前の記憶エルトゥールル展」が開催されました。この企画展は映像学科の田中光敏教授と写真学科赤木正和客員教授の合同企画で開催。12月5日から公開の映画「海難1890」の撮影小物や資料、実際に使われた衣装類も展示がされ、会場内で上映されたメイキング映像は公開直前ということもあり、17分の特別編集バージョンが上映された。この映画のメガホンを取ったのが田中監督で、ストーリーの舞台となったのが、本州最南端、和歌山県串本町の紀伊大島である。この串本町の町長が本学の卒業生である田嶋勝正氏であり、10年前に串本町にある無量寺で秘蔵されていた当時の医師の記録が発見されたことから、トルコ軍艦エルトゥールル号の座礁沈没時の模様、紀伊大島島民たちの救助活動の様子が細部まで明らかになったのです。このことから在学中同級生であった田中監督に10ページ以上の企画書が届けられ、映画化のきっかけとなりました。この映画では、本校写真学科卒業で一年後輩の現写真学科客員教授の赤木正和が映画の本編で水中撮影を担当していますが、最新の4Kシネマ映像用カメラと専用水中ブリンプを使用して撮影されており、冒頭シーン、中盤、エンドロールと迫力のあるインサート映像となっています。
奇しくも同じく10年前に、トルコ海洋考古学研究所所長であった一人のトルコ人海洋考古学者TUFAN TURANLI氏が串本を訪れ、実際に沈んでいるエルトゥールル号の発掘プロジェクトをスタートさせました。その発掘プロジェクトの公式記録員として発掘の全記録(動画と写真)を赤木客員教授が現在まで継続担当。トルコ人たちと共に毎年水中を含む発掘記録を撮ってきました。
いわば二つのプロジェクトが10年にわたり平行して進んできたわけです。
この二つのプロジェクトをまとめて一般公開という形で大阪芸術大学スカイキャンパスにて結実した展示です。
展示内容としてA0サイズの大判プリントと3.3mのパノラマ写真など約70点、串本町とトルコ海洋考古学研究所のご協力で実際の発掘物113点を展示、あわせて東映のご協力で撮影で実際に使用された衣装5点、撮影小物8点、映画紹介パネル8点。この中で田中教授が秘蔵する映画のなかでの重要なポイントとなった香水瓶も展示されましたが、実物が発掘現場から出土したことが元となってストーリーを膨らませています。連動して動いていたからこそ映画化にもアクセントを加えていたのです。
会場ではドキュメンタリーとしての記録映像も15分作品として流され、どのように発掘保存処理が進んだのかを具体的に知ることができる展示となっていました。
来場者を対象に毎週末、赤木客員教授によるギャラリートークも行なわれましたが、最終回は145人の入場者となり、映画公開前にタイムリーに同展が開催されたことを物語っています。また開催時の連動企画として、同じあべのハルカスの19階、大阪マリオット都ホテルのレストランフロアでも赤木客員教授によるトルコのリゾート地を紹介する写真展「知られざるトルコ」展が開催されており、(こちらは11月1日~12月末まで)双方で連動告知を行ないました。このことからエルトゥールル展の開催前プレスカンファレンス時、トルコ料理のケータリングを同ホテルから無償提供いただきました。
会期終了後、トルコ航空の依頼により、関西空港にて12月2日~6日まで関西空港内に移設展示も行ないました。
後援、協力:在駐日トルコ共和国大使館、和歌山県、串本町、東映、BOSAV、トルコ海洋考古学研究所、テキサスA&M大学、トルコ航空、大阪マリオット都ホテル
なお現在次の連動展としての決定事項として、2016年4月23日から10月末日までトルコ・アンタルヤにて開催される「国際園芸博覧会」EXPO2016にて、日本国政府出展 屋内展示基本計画にエルトゥールル展の展示の一部が出展されることが決定しており、両国間の絆を深める展示として新たな映像制作を含め進行中です。このEXPOはトルコ初となる国際A1クラスの展示で11万人の入場者数が見込まれています。