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完全にミルクボーイやがな! 完全にミルクボーイやがな!

映像学科, 放送学科, 舞台芸術学科 / その他
2021/06/11

お笑いファンにとってここ最近でいちばん大きなニュースといえば、彗星の如く現れてM-1の歴史を変える高得点を叩きだしたミルクボーイではないだろうか。しかしふたりはいきなり現れたわけでは、もちろん、ない。16年ほど前、大阪芸大入学直前に運命の出会いを果たした時から、そのストーリーは始まっていたのだ!

「大阪芸大の落研で意気投合したコンビらしいねん」
「ミルクボーイやないかい」「いやそれが、実は入学前に運命の出会いを果たしていたらしいねん」

駒場「内海との出会いは大阪芸大の落研(落語研究会)。同期が4人しかいなかったんで、ふたりでコンビ組もうかあという話になった」

内海「お互い一人暮らしで、家に行ってネタをつくってましたね。はじめて駒場の家に行ったら、入学前、僕も内見に行った所だったんですよ。記憶をたどれば、内見のとき、僕の前におったなーって。らくだ色の肩パッドがすごいジャケットを着てたアイツやって」


駒場「僕も覚えてた。お父さんとお母さんに挟まれてチヤホヤされたバカ息子がおったなと」

内海「運命的な出会いやな。大阪芸大は濃くて変わった人が多くてみんながいろんなことをしてるんで、学内を歩いているだけでも知らんものを知れる。民族楽器みたいなのをずっとシャカシャカやってるやつ、おったな」

駒場「おった、おった」

内海「耳障りやった」

駒場「おい! 刺激的やった、だろ。先生もいろんな業界の方が来てすごい。故岩崎富士男先生が『キューティーハニー』の歌のクロード・Qさんやったって知ってビビりましたね」


内海「今、CMの撮影現場に行っても、大学時代にカメラセッティングを習ったからその大変さがわかる」

駒場「現場で『私、大阪芸大だったんです』という人も多い。東京に来てもよく会う。音声さん、照明さん……いろんな所に卒業生がいて安心感ありますね」

内海「そういえば落研で老人ホームに行って落語や漫才をしたこともあったな。なんでか僕がけん玉で余興をして」駒場「あったあった。あの経験があるから今も高齢の方が多い現場でもネタへの入り方がわかる。大学時代にいろいろ培ったと思う」


富田林からあべの橋までずっとゲーム


内海「卒業したらNSC(吉本総合芸能学院)に行こうと言ってたけど、4年生の夏に若手芸人の劇場『baseよしもと』(当時)のオーディションに受かってそのまま芸人になりました」

駒場「でも大学やめる気はなかったですね。在学中に芸人ってのがカッコいいと思ってた。女子高生なのに女優、みたいな感じで」

内海「その頃はコントもやってたな」

駒場「おもろいコントなんですけど、ふたりとも演技力がなさすぎた」


内海「2008年に大学を卒業して、いよいよ本格的に……と思っていたら、2010年に『M-1グランプリ』が一度終わってしまって目標を見失って。5年間お笑いをサボっていた時期があった。お互いお笑い第一じゃなくなって、冷戦状態」

駒場「仲が悪いとかじゃないけど、連絡をとらなくなって。あのとき解散してもおかしくなかったけど、そこから『もう一回がんばろう』となれたのは、学生時代の普通の友だちとしての思い出がたくさんあったからやと思う」


内海「心斎橋まで一緒に買いもん行ったな。心斎橋って言ったら学生時代の僕らにとって冒険ですよ」

駒場「電車のなかでずっとゲームボーイやってたな。隣同士座って通信で。小学生か!」

内海「吉本の本社にオーディションを受けに行ったときは、ふたりともビビってた。いい思い出や」


ウケるネタは検索よりも“ずっと思っていること”


内海「新型コロナウイルスの影響で劇場が自粛になって、改めて会場のお客さんの笑い声に僕らが元気をもらっていたということを感じましたね」

駒場「ネット配信でいろんな人に見てもらえるのはうれしいけど、やっぱり劇場は大事」

内海「実際にその場で見て感じたほうがおもろいですから。僕らがネタを作るときも、たとえば題材が食べ物だったら実際に食べながらつくるときもあるんですよ。ネットで調べることもするけど、結局は、自分が経験してずっと思っていたことのほうがウケることが多い。ずっと思っていたということは忘れない情報ということ」


駒場「そう、結果としてそれがみんな思ってることやったりする。みんなが思ってるなかのめっちゃ順位が低いこと、第50印象くらいだけど『確かにそう思う』ということをおもしろいと思ってくれてると思う」

内海「だから、ふだんから物事をいろんな角度で見るようにしてますね」

駒場「そのほうがおもしろくなると思いますね、何事も」

内海「ほんまそうやな!」


●ミルクボーイ 1986年生まれのボケ担当・駒場孝(写真左)と、85年生まれのツッコミ担当・内海崇(写真右)によるコンビ。2004年、駒場が大阪芸術大学放送学科、内海が同大学映像学科に入学(08年ともに卒業)。04年7月、大学祭で「ミルクボーイ」として漫才を披露。06年、早稲田大学主催「大学生M-1グランプリ」優勝。08年、baseよしもとのオーディションに合格。2010年からM-1グランプリが復活する2015年までほとんど活動していなかったが、一念発起して16、17、18年とM-1に3年連続で出場し準々決勝進出。19年、関西演芸しゃべくり話芸大賞グランプリ、M-1グランプリ優勝。