漫画のストーリーづくりは、パズルにたとえられたりします。
さまざまな場面やセリフを順列組み合わせ的に並べ、構築していく所が確かに似ています。しかし重要なのは、決して「枠が既に用意されたジグソーパズル」ではないという点です。
担当編集者と次号の内容を打ち合わせして、パズルの絵のイメージや枠のサイズが決まったとします。しかし机上に必要なピースが全て揃っているとは限りません。むしろ不要なピースがゴロッゴロ混じっていたりするのです。
さらに、打ち合わせでは枠を横長・長方形にする予定だったのが、じつはもっとも物語がおもしろくなる正解は正方形だったり、あるいは読者が求めてるのは四角形ですらない円形かも知れません。ときには平面のパズルですらなく、立体的な積み木をしなければ話の筋が通らないケースも……。そんなときは編集者と二人三脚、〆切まで何とかジタバタするしかありません。
何だか抽象的すぎるたとえになってしまいましたが、週刊連載をやる個人的な感覚は正にこんな風。骨組みも中身もフワフワと定まらないパズル。それをバシッと形にするのはいつも、己の瞬間的な閃きと度胸だったように思います。