2022年9月25日、大阪城ホールで開催されたFM802ラジオ番組発のライブイベント「HIGH! HIGH! HIGH!」に、今年も芸術計画学科の学生たちが参加しました。事前企画としてPodcast番組を制作・配信し、当日はブースを設営してプレゼント企画などを実施。様々な角度からイベントプロデュースを学び、ライブの盛り上げにも一役買いました。
芸術計画学科では、キャンパスを飛び出して実社会と密接に関わる様々なプロジェクトに取り組む学びを展開しています。FM802の人気番組「ROCK KIDS 802 OCHIKEN Goes On!!」から生まれた音楽フェス「HIGH! HIGH! HIGH!」で、学生たちがプロと連携しながらイベントプロデュースの現場を体験しました。
この「HIGH! HIGH! HIGH!」プロジェクトは、学生自身が選択したイベントの企画や準備、運営を実践的に学びながらプロデュース力を磨く「プロジェクト演習」の一つ。同イベントを主催するFM802プロデューサーで芸術計画学科客員准教授の今江元紀先生が指導にあたり、学生が発案した企画を形にしながら、イベントプロデュースについて学んでいきます。
今回はライブを盛り上げるための事前プロモーションとして、Podcast番組「オトリス」を企画・制作しました。SNSでリスナーにアンケートを行い、出演アーティストが当日演奏するセットリストの予想と、楽曲にまつわるエピソードを募集。ラジオドラマを制作し、プレイリストとともにSpotifyで配信するというプロジェクトに取り組みました。
番組制作会社のプロスタッフの力を借りながら、台本作成にもチャレンジ。ドラマにはアーティスト本人にも出演していただき、MCはFM802のDJで大阪芸術大学卒業生でもある板東さえかさんが担当しました。収録では学生たち自身も声の出演を果たし、ラジオドラマ作りの現場を体験しました。
完成した3本の番組は、9月21日・22日に順次公開。「ROCK KIDS 802」の番組内をはじめ、番組MCや出演アーティストのSNSや自身のサイトなどでも情報拡散され、多くのリスナーに届けることができました。
Podcast番組「オトリス」は、Spotifyにて配信中です。
※視聴にはスマートフォンもしくはデスクトップアプリが必要です。
オトリス Part.1 …Pickup Artist:Saucy Dog / ヤバイTシャツ屋さん
オトリス Part.2 …Pickup Artist:緑黄色社会 / SHISHAMO
オトリス Part.3 …Pickup Artist:クリープハイプ / WurtS / フレデリック
ライブ当日は、2・3年生の19名が運営スタッフとして参加しました。まずは今江先生のレクチャーを受けながらバックヤードを見学。今回のフェスは、ステージを360度囲むように客席を配置するスタイルが特徴です。そうした舞台機構や各種設備、照明プランニングなどについても詳しく説明を受け、どのようなスタッフがどんな役割を担っているかを目の当たりにしました。
続いて会場内に大阪芸術大学ブースを設営。事前番組に関連したクイズ&抽選コーナーを設けて、来場者とコミュニケーションを図りながら雰囲気を盛り上げます。オリジナルグッズのうちわの配布、来場者への声掛けや案内なども行い、イベント制作の裏側を体感しました。
いよいよ開演時間。大阪芸術大学卒業生のクリエイターチーム「透明回線」のアートワークによる紹介映像に続いて、14時30分からライブがスタートしました。フレデリック、WurtS、Saucy Dog、緑黄色社会、クリープハイプ、SHISHAMOらとともに、大阪芸術大学出身のバンド、ヤバイTシャツ屋さんも登場。7組の人気アーティストの熱いステージが繰り広げられ、会場は大いに盛り上がりました。
学生たちは、生のステージだからこその躍動感や臨場感もしっかりと体感。プロデューサーとしての視点も意識して会場全体の様子を観察し、声を出せなくても拍手やジャンプなど全身でライブを楽しむ観客の姿を見て、イベント制作に関わる楽しさや、やりがいを再認識していました。
今回の「HIGH! HIGH! HIGH!」は、コロナ禍における大阪城ホールでのオムニバスイベントとしては最大の観客数で無事開催することができました。運営側としては全体にタイトなスケジュールで進行し大変な面も多かったのですが、学生たちにとってはそれを間近で見ながら、イベントプロデュースの流れを学んでもらえる場になったと思います。 今回はイベントの前段階としての事前企画と、当日の企画、2方向から取り組んでもらいました。3年生のコアメンバーが中心になってプロジェクトを進める形で、それぞれがお客様の目線に立ち「何をすれば当日まで楽しめるか」という企画を考えることができたのではないでしょうか。 プロデューサーの仕事は、コンテンツ作りそのものではなく、様々な専門職のブレーンとつながり、チームを構成して企画を形にすること。とはいえ、作業の内容や作り手の気持ちを知らなければ的確な指示も出せません。今回は音声番組の台本作りや声を入れる収録にも参加して、現場の作業をリアルに体験してもらいました。 ブース展開や装飾、お客様の誘導や呼び込みなどの準備も、マニュアルがあるわけではなく、事前にシミュレーションして必要な要素を洗い出し、スケジュールを考えて進めます。指示を待つのではなく自分たちで話し合って、やりたいことを実現するための体制作りから設計する。その中で何を学び、何を吸収するかが大切です。 ここ数年はコロナの影響でライブエンターテインメント自体が減り、オンラインや配信で気軽に楽しめる機会が増えました。ですが、作り手の意図を実現するために色々な人が関わっているという構造やプロデューサーの役割は、ライブもオンラインも共通。手法がどんなに進化しても、その原動力となるのは、人を楽しませたい、喜ばせたいというプロデューサーの思いや視点です。 芸術計画学科ではそうしたプロデュースの根源的なあり方や姿勢を培ってほしい。専門学校ではなく大学で学ぶ意味も、そこにあると思います。さらに自分の興味のあること以外の分野にも積極的に触れて、経験値を高めることも常に意識してほしいですね。
昨年から本プロジェクトに参加していますが、今回は少人数のコアメンバーで取り組むスタイルになりました。私はチーフとして全体の進行管理をするだけでなく、先生への確認、企画書・資料の作成など幅広い業務を担当。Twitterに投稿した告知用のイラストもすべて自分で描きました。何でも自分たちでやるので勉強にはなりましたが、目の前のことをこなすので精一杯だったのは反省点です。プロジェクトをスムーズに進行させるには、もう少し視野を広く持って、必要なことを見極めていかなければいけないと感じました。 事前番組では、構成や台本も自分たちで考案。苦労した分、FM802のDJさんや出演アーティストの方々にも告知に協力していただき、多くの人に情報を届けられて嬉しかったですね。当日は芸大ブースに人が来てくれるか、グッズを配り切れるかと心配でしたが、いざ開場してみると、グッズはすぐに配布完了。ブースの抽選コーナーも大盛況で、来場者から「番組聴きました!」と言われた時は、作ったものが人に届いたという喜びでいっぱいになりました。 芸術計画学科では、色々なことに興味を持つ人が多く、自分の知らない世界にふれたり、周りからたくさんの知識や情報を得られたりと、毎日が刺激的。今まで以上に多くのことを学び、音楽イベントに携わるという将来の夢にいかしていきたいです。
音楽とラジオが好きな自分にとって、両方に関われるこのプロジェクトは理想的な学びの場でした。主に担当したのは事前企画の配信番組「オトリス」です。得意なPCスキルをいかしてアンケートを集計し、リスナーから寄せられたエピソードを基にラジオドラマやMCの台本を作成。イメージをふくらませ、メンバーと話し合い、ロールプレイングをしながらシナリオを組み立てました。ラジオドラマを作るという貴重な経験ができて、とても楽しかった反面、なかなか思うように進まず、想像力やクリエイティビティが求められる作業だと感じました。 スタジオ収録ではキャストの一人を務め、制作側と出演側の両方を経験できたのも良かったです。プロディレクターの指導と編集を経て仕上がったラジオドラマは、素人の私たちが参加しているとは思えないほどの完成度。実際に人気番組を制作しているプロの方々と一緒にコンテンツを制作できるのも、このプロジェクトの魅力ですね。 昔からライブや芸術に関心があり、そうした分野の知識や視野を広げるため、工業高等専門学校から編入学しました。芸術計画学科では、幅広い企画に携わりながら、プロデューサーや技術者としての視点を養うことができます。これからも「楽しむこと」を大切に、自分の軸をしっかりと持って、成長するために何をすべきか見極めながら学んでいこうと思います。