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第9回 高円宮殿下記念 根付コンペティション記念展 第9回 高円宮殿下記念 根付コンペティション記念展

高円宮殿下記念 根付コンペティション記念展
工芸学科 / その他
2017/12/23

江戸時代に印籠や巾着、煙草入れなどを帯に提げて携帯するため、紐の先に結わえる滑り止めとしてつくられた装飾品の根付。本学客員教授の高円宮妃久子殿下は、高円宮憲仁親王殿下とともに世界有数の根付コレクターとして、また、現代根付作家を育まれてこられたことでもよく知られています。

大阪芸術大学グループでは両殿下を記念して、グループ各校の在校生を対象とした「高円宮殿下記念 根付コンペティション」を2009年に創設しました。

第9回目を迎えた今年のコンペティションには、150名の学生が参加。169点の作品から18点が入賞作品に選ばれました。記念展初日には表彰式が行われ、妃殿下から入賞者一人ひとりに作品の感想と激励のお言葉が贈られるとともに、表彰状と記念品が贈呈されました。

会場には、高円宮賞を受賞した林菜々美さんの「紅葉饅頭」、学長賞を受賞した中村駿斗さんの「大金はムシできない」、特別賞を受賞した川田奈央さんの「宿り傘下に雨帰り」をはじめとするすべての応募作品とともに、高円宮の根付コレクションより選び抜かれた根付約130点、妃殿下が撮影された「旅する根付」の写真パネルの特別展示も行われました。江戸時代から現代へと受け継がれてきた掌に収まる小さなアート。さまざまな角度から根付の可能性を肌で感じられる貴重な機会となりました。

工芸学科 テキスタイル・染織コース
林 菜々美さん

私は、2回目の参加となったこのコンペティションで高円宮賞をいただきました。正直とてもびっくりしましたが、表彰式を終えてようやく実感が湧いてきました。前回は、ふぐをモチーフにした根付を制作しましたが、鋳造で丸くつくったことでかなり重くなってしまい、実用性に欠けていたかなと反省していました。そこで今回は、重さと大きさに注意して、身につけて使うことを第一に考えました。
モチーフを考えはじめた頃、紅葉が散っていることに気がつきました。これを根付にできないかなと思って、落ちている紅葉を拾い集めて帰宅しました。その葉っぱを使って球体にしてみた後で、葉っぱを金属でつくって球体にして、全体がどう見えるかを探っていきました。金属の板から葉の形にしていきましたが、自然な葉っぱらしい葉脈や模様を出すのはとても苦労しました。それでも、どの方向から見ても美しいと感じられるように取り組むのは、とてもおもしろい作業でもありました。
妃殿下からもお声がけいただいたことで、自分としても新たな発見がありました。これを機にさまざまなコンペティションへの参加はもちろん、自分の作品をもっと増やしていきたいと思っています。

工芸学科 テキスタイル・染織コース
奥野 真菜さん

テキスタイル・染織コースで学んでいる私にとって、普段の制作は平面作品なので、根付に取り組むこと自体が挑戦です。今回が3回目の挑戦になりますけど、ようやく優秀賞をいただくことができました。
制作をはじめるにあたって、どういう作品にしようか…と迷っていたときにふと思い出したのが、奈良国立博物館の「正倉院展」で見た琥珀でできた魚の装飾品の美しさでした。あのときに見た宝物を根付で再現できればと方向性を決めた私に、「自分が持っている技術を使えばおもしろくなるよ」というアドバイスを先生がくださったんです。そのひと言で、天然染料と染めの技術を根付に応用しようと思いつきました。今回の作品は、赤い作品は柘植の木、青い作品は象牙を使っているのですが、普段扱わない素材なので糸を染めている横に一緒に入れて煮こんでみて、何度か染めの実験もしてみました。うまく染まってからの彫りの工程は、もとあるモチーフを再現するという作業だったので、黙々と取り組めてすごく楽しかったですね。
とにかく無心で制作してきて、賞をいただけたるとは夢にも思っていなかったので、受賞は本当に驚きました。来年は社会人として帽子をつくる仕事に就く予定です。新たなステージでも今回の根付展のように、新しい素材にもどんどんチャレンジしていきたいと思っています。

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